【2月28日付社説】韓国便が発着地変更/肝据えて事実誤認正さねば

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 県は政府とともに肝を据えて、事実誤認の解消と正しい情報発信の強化に努めなければならない。

 韓国の格安航空会社(LCC)済州航空が、3月に予定していた福島空港と仁川国際空港間のチャーター便の発着地を、東京電力福島第1原発事故の放射性物質による健康被害への心配から非難が寄せられたことを理由に、仙台空港に変更した。

 済州航空は、県内を中心に東北地方から韓国へのツアー客を対象に、18日に福島から仁川へ飛び、20日に戻る計画を立てていた。

 発着地変更は、韓国のインターネットサイトなどに「福島に飛んだ機体に乗りかねないので済州航空は今後利用しない」といった書き込みがあったからという。

 また、このチャーター機の乗員は強制的に乗務させられる、との主張もあり、同社社長は全職員に送ったメールで「(職員の)家族の心配を解消するため」福島空港の利用をやめると表明した。

 福島空港のホームページによると福島空港の放射線量は0.08マイクロシーベルトであるのに対して、ソウルは0.09マイクロシーベルトと上回る。韓国原子力安全技術院のIERNetでのソウルの数値はさらに高い。この事実を韓国の人々はどう考えるのか。

 本紙連載「坪倉先生の放射線教室」でかつて記述があったように、飛行機で上空に上がると空気が薄くなるため放射線量は増える。操縦士や客室乗務員は地上にいるより多く放射線を浴びることになるが、健康が損なわれたという報告は聞いたことがない。

 それでも放射線が心配だというのであれば、韓国の人たちは飛行機に乗って旅行もできなければ、仕事もできないということになってしまうだろう。本県の実情と放射線についての、無知、無理解は甚だしいと言わざるを得ない。

 一方で、韓国の聯合ニュースによると、同社社長は福島空港の安全性そのものについては理解を示しており、韓国民の中にも健康被害は杞憂(きゆう)だとして過剰反応を懸念する人たちがいる。

 県は昨年8月から韓国に情報収集・発信の窓口を設けているが、今後は情報収集の感度を高めるとともに、本県への正しい理解が確実に広がるような情報発信の在り方を真剣に考える必要がある。

 今回の韓国チャーター便は2013年9月以来、約3年半ぶりの運航で、原発事故後途絶えている定期路線の再開に向けた第一歩となる予定だった。チャーター便の約180席は県民を中心にほぼ完売している。済州航空には予定通り福島発着での運航を求めたい。