【3月2日付社説】農産物GAP認証/農業再興への切り札にせよ

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 本県農業を再興する切り札として、GAP(農業生産工程管理)第三者認証の取得を進めたい。

 GAPは農産物の安全性を高めたり、環境保全や農作業の事故防止など農業生産に必要な工程を点検、改善する活動。専門機関による第三者認証のほか、生産者と取引相手との二者認証などがある。

 第三者認証は、国際的な認証として「グローバルGAP」があり、日本には国内認証「JGAP」がある。しかし、これらを取得するには、生産管理や申請が複雑で、費用がかかることもあり、導入が進んでいない。特に県内ではグローバルGAPが4件、JGAPが5件にとどまっている状況だ。

 認証取得は安全性などをアピールするだけでなく、2020年東京五輪・パラリンピックの食材調達の要件となる。県産農産物に対する風評払拭(ふっしょく)や輸出拡大への大きな後ろ盾としても期待される。取得を目指すことは必然でもある。

 県は新年度、県独自の認証制度「県GAP」を創設する方針だ。審査項目を大幅に減らして生産者の手間を少なくし、取得経費も無料とする。対象は、JAの生産部会や法人などで、県GAPを登竜門にして、上位認証へのステップアップを誘導したい考えだ。

 県GAPも東京五輪の食材調達の基準として採用される可能性がある。まずは、より多くの農業者や生産団体、法人に取得を目指してもらいたい。県とJAは、取得に向けた助言や指導など支援を一層強化しなければならない。

 県は、農業短期大学校(矢吹町)でも認証取得を目指す方針だ。全国の農業高校で初めてグローバルGAPを取得した青森県の五所川原農林高はわずか数カ月で取得した実績を持つ。短期大学校が手本を示して、県内の高校に取得の輪を広げることが大切だ。農作物の品質や生産性の向上へより意識の高い担い手育成に役立つはずだ。

 12年のロンドン五輪では、食材調達の要件となった英国版GAP認証を農家の大半が取得していたとされる。日本で、このまま認証取得が進まなければ、東京五輪で使用する国産食材の供給が大幅に不足する恐れもある。

 本紙連載「農の挑戦 ふくしま発」で、自民党農林部会長の小泉進次郎氏は「福島県が東京五輪に日本で最も多く食材を提供することになれば、復興五輪の最高のレガシー(遺産)となる。20年度以降のブランド化にもつながる」と話している。GAP認証の取得は「農業県ふくしま」の底力を示し、根強い風評を拭い去るチャンスである。生かさぬ手はない。