【3月3日付社説】福島駅前の活性化/再び心がわくわくする街に

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 福島市のJR福島駅東口にある百貨店「中合福島店」の2番館が8月末で閉館することになった。

 1番館は残るが、2番館の入るビルは当面、空きビルになる可能性もある。福島駅は県都の玄関口であり駅前は福島市の顔である。

 閉館はさみしいが、市街地活性化やにぎわいづくりの再起点として前向きに捉え、行政や経済界はビル所有者の意向を踏まえながら、ビルの利活用、場合によっては再開発に対応していくべきだ。

 1番館は1973年から、2番館は98年から中合が使っている。2番館の閉館は、ビルが国の耐震基準を満たしておらず、改修を行った場合、営業できない期間が長引く恐れがあるためという。

 このため中合福島店は2番館を閉じ、1番館に集約する。売り場面積は現在より約4割減少する見通しだ。中合には集約後も、買い物客の満足が得られるよう魅力を凝縮した店づくりを望みたい。

 福島駅東口周辺にはかつて、コルニエツタヤや長崎屋福島店、エンドーチェーン福島店などがあったが、次々に撤退した。福島市が2014年に行った消費購買動向調査では、頻繁に買い物をする地域として「東口周辺」と答えた市民は1割強にとどまった。

 東口周辺では駅前通りの再整備が始まり、今後は福島医大新学部の設置が予定されているが、以前のようなにぎわいを取り戻すのは容易なことではないだろう。

 富山県の県庁所在地・富山市はコンパクトなまちづくりの先進地として知られる。病院や介護施設、商店を中心部に集約し、高齢者が次世代型路面電車などを核に車に頼らず、暮らせる環境づくりを進めている。

 その富山市に福島駅前活性化のヒントがある。同市は百貨店と専門店ビルの間にある幅21メートル、長さ65メートルの廃道に巨大なガラス屋根をかけ多目的広場をつくった。中合1、2番館の間にある「ツイン広場」に屋根をつけたイメージだ。

 運営主体によると多目的広場は年間300回ほどイベントに活用されている。さらにこの広場近くの百貨店跡に建てられた再開発ビルには市立図書館や美術館が入り市民や観光客でにぎわっている。

 本県に限らず地方都市は、車社会の進展で商業施設や公共施設などの郊外立地が進む一方、中心市街地では空き店舗や未利用地が増えた。しかしその後は、それぞれの地域の個性を生かした活性化策を模索する動きが各地で活発化している。心がわくわくするような街を福島市に取り戻すために、新たな視点で知恵を絞りたい。