【3月4日付社説】除染で贈収賄容疑/徹底解明し不正の芽を摘め

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 本県の復興に欠かせない除染事業に乗じて利益をむさぼるようなことがあってはならない。

 東京電力福島第1原発事故の除染事業に参入させる見返りに業者から飲食接待を受けたとして、県警と警視庁の合同捜査本部が、収賄の疑いで環境省福島環境再生事務所の専門官を逮捕した。また贈賄の疑いで、富山県の建設会社元社長を逮捕した。

 県警によると専門官は、国が発注する浪江町の除染の管理監督を担当していた。旅行費用や飲食費など計数十万円相当の接待を元社長から受けた疑いが持たれている。元社長の会社は、専門官が担当した除染事業の下請け業者となり、利益を得ていたとみられる。県警には徹底的な捜査による全容解明を求めたい。

 環境省によると、専門官は民間企業で除染作業に携わった後、2015年4月に3年間の期限で同省に採用された。下請け業者は元請け業者が決めるが、専門官は除染作業の進み具合を確認するなど、元請け業者と頻繁に連絡を取る場にあったという。

 同事務所の職員は551人で、うち期限付きで採用された職員は365人。さらにこのうちの7割は民間出身だ。期限付き職員は採用時の研修などで法令順守といった公務員としての倫理をひと通り学ぶという。贈収賄など不正を未然に防止する体制は十分だったのか。逮捕事件が起きた以上、環境省は総点検し、不正を根絶する体制を再構築しなければならない。

 除染をめぐっては、元請け業者の下に、複数の下請け業者がぶらさがる多重構造が問題視されてきた。除染作業は、技術力をあまり必要とせず、利益が大きいために業者が全国から集中した。この結果、業者間の競争は極めて激しく、今回の事件が「氷山の一角」とみる業界関係者もいる。

 除染費用は、作業の人件費や資材価格の高騰が響くなど、当初の政府試算の2兆5千億円から4兆円に膨らむ見通しだ。国民に大きな負担を強いている。費用は1円たりとも無駄にすることはできない。それを食い物にするような行為は言語道断だ。

 除染に関連しては、業者による賃金の中間搾取や手当の不払い、作業員による犯罪などトラブルが数多く発生している。除染は住民の安全で安心な暮らしを確保するために必要であり、仮置き場の確保や現地保管など住民の協力がなければ進められない。環境省は事業者を指導すべき職員が逮捕されたことを重く受け止め、信頼回復に全力を挙げなければならない。