【3月5日付社説】震災6年 避難指示解除/再建へ大きく確かな一歩を

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から6年を経て今春、原発事故による避難指示は帰還困難区域を除いて、ほぼ解除される見通しとなった。

 31日に浪江町、川俣町山木屋地区、飯舘村、4月1日に富岡町で居住制限、避難指示解除準備両区域の解除が予定される。これにより避難区域の面積は当初の約3分の1にまで縮小することになる。

 避難指示の解除は大きな節目であり、町や村の再建へ取り組みをスピードアップさせてほしい。

 しかし、立ち向かわなければならない課題はたくさんある。一昨年9月に避難指示が解除された楢葉町ではいまも帰還した住民は1割強にとどまる。昨年6月に解除された葛尾村も1割に届かない状況だ。

 楢葉、葛尾両町村役場によると、住民は古里に戻ることができない理由として、毎日の買い物や医療、教育環境などへの不安を挙げているという。避難指示が解除されても震災前と同じような「日常」を過ごすことができないことが大きな障害となっている。

 ただ、今春、避難指示解除を控える自治体も手をこまねいてはいない。浪江町は昨秋、仮設商店街が開業したほか、今月末には町営診療所が設けられる。飯舘村では復興拠点を兼ねた道の駅が8月にオープン予定だ。川俣町山木屋地区では食堂や日用品店などが入る商業施設が6月、富岡町では複合商業施設が今月末に開設される。

 それぞれの自治体には、これらの施設を核にして生活基盤を拡充し、住民たちが安心して暮らすことができる環境を整えてほしい。もちろん学校の再開や雇用の創出にも取り組まなければならない。

 各自治体が抱える課題は原発事故からの復興だけではない。少子高齢化など県内の他の自治体と同様の課題もある。政府や県は、一人でも多くの人たちが古里に戻ることができるよう支援策を充実させなければならない。

 帰還困難区域の再生も動きだす。政府は5年後をめどに避難指示を解除し、帰還した住民が住むことができるよう「特定復興再生拠点区域」を設けることを盛り込んだ福島復興再生特措法改正案を今国会で成立させる方針だ。

 道路や水道などのインフラ復旧と除染を国費で一体的に進めることができるようになる。浪江町は町内3地区に同区域を設定できるよう政府に求めている。双葉、大熊両町は駅周辺に広範囲での整備を望んでいる。政府は、各町の意向を十分踏まえて、柔軟に対応することが肝要だ。