【3月10日付社説】震災6年 産業の再生/変革と集積で復興けん引を

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 県内のものづくり企業が持てる力を最大限に生かして変革を続け復興のけん引役を担ってほしい。

 「県内の企業には欧米でも通用する高い技術力がある。これら企業と連携して事業を育てていきたい」。3年前に福島市に進出した医療機器関連メーカーの社長は県内企業が持つ可能性を評価する。

 本県の医療機器産業の企業数や生産額はこの10年間で倍増した。企業数は73社となり、生産額は1300億円を超えて全国で3番目に多い。

 生産額の伸び率は全国を上回っており、国内有数の生産拠点に成長した。医療機器産業の本県経済への貢献度は高まっている。この勢いを県内の中小企業に広げていきたい。

 そのためには、中小企業が医療分野に挑戦しやすい環境を整えなければならない。

 県によると、中小企業の多くは東日本大震災と原発事故の影響が続き、経営面のリスクを伴う新製品の開発を避ける傾向にあるという。しかし、その一方で県が中小企業の事業参入を促すために設けた補助金は本年度で終了する。県は新たな補助金の創設など、財政や技術面など幅広く支援する推進策を再構築すべきだ。

 産業復興の原動力として期待されているのは医療機器産業だけではない。浜通り地方を中心に新産業の集積を図る福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の主役ともいえるロボット産業の育成も着実に進めたい。

 県は新年度、ロボット産業への参入を目指す企業に参加を求め、ロボット産業推進協議会を設立する。150社の参加を目標にしており、企業が共同で研究開発や部品受注などを行う体制をつくる。

 県内の中小企業は、自社の技術をロボット製造分野のどこに生かすことができるのかについて考えるところまでいっておらず、事業参入への関心は高まっていない。県や協議会はロボットに組み込むモーターなど具体的な部品の事例や、参入した場合のメリットを示すことが求められる。

 イノベーション・コースト構想は新年度に産学官連携組織が発足する。南相馬市と浪江町につくられる実験拠点は今年夏ごろ着工、ドローン(小型無人機)などの開発試験ができる施設を整え、2018年度に利用を開始する予定だ。

 被災地の企業にとって、新分野への取り組みは事業進展への手段を多くすることになる。政府と県には、企業が技術力向上や事業化に向けて地力を高めることができるよう環境整備に努めてほしい。