【3月17日付社説】不条理との闘い/正しい知識広め歪みなくせ

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 本紙連載「復興の道標」の「不条理との闘い」編が終わった。

 東日本大震災と原発事故から6年が過ぎたが、「福島は危険」などといった歪(ゆが)んだ見方が国内外に残る。復興を進めるために正確な情報の発信と知識の普及に全力を挙げなければならない。

 本県に対する誤解や偏見、誤った風評を生じさせている大きな原因は放射線に関わる根拠のない不安だ。本県の情報が正しく伝わっておらず放射線のリスクに漫然とした不安を抱き続けているのだ。

 県の野地誠風評・風化対策監は連載の中で、風評にさらされている現状について「原発事故直後の過酷な状況のまま、情報が更新されていない」ことを挙げている。

 県内の除染は、帰還困難区域などを除いて最終段階にある。県民がふだん生活する範囲の放射線量は十分に低くなっている。

 農林水産物については放射性物質の厳しい検査が行われている。なかでもコメは「全量全袋検査」が実施され、昨年末までに調べた2016年産米は全て基準値を下回っている。県産食品は日本一安全だと言ってよい。

 それにもかかわらず、本県と放射性物質、放射線に関する誤った情報が社会に広がっている。情報が適時適切に更新されず、インターネットなどでは偏見や誤解が再生産されているのが実情だ。

 海外の状況は、それ以上に深刻のようにみえる。「6年前の情報と、今の情報が混同されて理解されがちだ」と福島大助教のマクマイケル・ウィリアムさんは連載の中で指摘している。

 それは本県産をはじめとする日本の食品に対する輸入規制の状況をみても分かる。原発事故後にとられた輸入規制は当初の54カ国・地域から徐々に減ってきてはいるが、30カ国・地域以上が規制を続けている。その中には韓国、中国、台湾など隣国・地域の名が並び、情報発信の質、量ともに不足していると言わざるを得ない。政府は情報発信を強化すべきだ。

 連載では放射線をめぐって県内でも地域や学校ごとに「温度差」が生じていることが紹介された。県内では原発事故後、小中学校で放射線教育が始まり基礎知識などを学んでいる。現状を理解し、県内外の人たちに正確に説明できるよう授業を充実させたい。

 本県に対する誤解や偏見をなくすためには県内での教育だけでは不十分だ。全国の小中学校で放射線や食品の安全に関する授業を行うことを提案したい。政府や県は放射線に関する正しい知識が一般常識になるよう努めてほしい。