【3月22日付社説】中国の食品報道/「日本産は安全」浸透させよ 

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 日本産食品の安全性に関する情報発信が不十分であることの表れだ。政府は毅然(きぜん)とした姿勢を取るとともに、いっそう発信力の強化に取り組まなければならない。

 中国国営中央テレビが先週、人気番組で、東京電力福島第1原発事故を受け中国が輸入を禁じている地域で生産された日本産食品が売られていたと報じた。

 放送を受けて、現地のスーパーやコンビニは、北京や上海、天津、広東省広州など10以上の大都市の店舗から日本産食品を大規模に撤去する事態となった。

 これに対して番組で取り上げられた日系企業は、報道には事実誤認があると反論する声明を発表。その後、商品表示の本社所在地を原産地と取り違えるなどの事実誤認が一部あったことが判明した。

 番組は、「世界消費者権利デー」に合わせた毎年恒例の特別番組で、多くの国民が視聴しており、外資企業の批判キャンペーンの発端となることがある。日本産食品は品質の良さなどから中国でも人気があるだけに、番組には意図的なものさえ感じる。

 中国は原発事故以降、本県や東京をはじめ宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、長野と東日本の広い範囲に及ぶ10都県の食品の輸入を禁止したままだ。今回の問題をきっかけに日本からの輸入に対して監視が強まる恐れがある。政府は状況を注視すべきだ。

 上海市の複数のスーパーでは、撤去されていた日本産食品の販売が再開されるなど、販売再開の動きが他都市にも広がる可能性がある。しかし、一件落着ではない。

 そもそも中国はなぜ輸入規制を続けているのか。日本産の食品は安全性が確認されたものだけが流通している。もちろん輸出品も同じだ。本紙が日曜日に掲載した世界の都市の放射線量をみると上海は毎時0・59マイクロシーベルトある。県内の主要都市に比べてかなり高い。

 山本有二農相は、きのうの閣議後会見で、今回の問題について、「誤解に基づく事実誤認は迷惑。極めて遺憾だ」と批判した。その上で、輸入規制の撤廃や緩和が進むよう、働き掛けを続ける考えを示したのは当然のことだ。

 北京の日本大使館で先週末、日本食品の魅力をアピールする催しが開かれた。消費拡大へ日本産の安全性に理解を深めてもらい、輸入規制の緩和につなげるのが狙いだ。会場で北京市の女性は「報道を否定する情報もあるし、日本食は安全だと思う」と話した。

 政府と県は、中国の政府と国民の双方に、正しい理解が広がるよう手を尽くさなければならない。