【3月23日付社説】軽度介護の移管/地域力育み支え合う契機に

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 4月から、介護保険サービスのうち、比較的軽度の「要支援」と認定された人たちへの訪問介護と通所介護が、介護保険から市町村の事業に完全移行する。

 市町村への移行は2014(平成26)年の法改正で決まり、15年4月から順次始まっていた。県内では既に40市町村が移行しており、残る19市町村も4月1日に移行する。

 地域の力を育み、住民が支え合いながら重症化を防ぐ取り組みを強める契機にしたい。

 新たに移行する市町村は、介護サービスを利用する人たちが戸惑ったりしないよう、サービスを受ける際の手続きの変更点などについて周知を尽くしてほしい。

 「要支援」は、食事や排せつはほとんど自分でできるが、日常生活に一定の手助けが必要な状態。要支援1、2に認定されている人は県内に2万5000人ほどいる。

 軽度者介護事業の市町村への移行は、膨らみ続ける社会保障費の抑制が目的だ。国は、住民主体の見守り活動や家事援助、外出支援などきめ細かなサービスの提供や、利用料の値下げなどにもつながるとしている。

 移行によって市町村は、地域の実情に合わせたサービス内容や料金を決めることができるようになる。介護事業者のほか、民間企業やNPO、ボランティアなども事業に参加できる。

 ただ、県によれば、県内のほとんどの市町村は完全移行後も当面は、これまでと同程度のサービスを続ける見通しという。これではサービスの多様化や費用抑制などにはつながらないだろう。

 それぞれの市町村が独自のサービスの提供に向けて、地域の介護ニーズをつかみ、サービスを提供できる団体や人材の発掘と育成を進めていくことが大切だ。

 過疎や高齢化で介護の担い手確保が難しい地域もある。住む地域によって、受けられるサービスに格差が生じたりするようなことがあってはならない。自治体の広域連携などによって一定水準のサービスが提供できるような仕組みづくりも検討したい。

 川俣町では、県内でいち早くNPOが通所介護事業に参入した。交流型のサロンを開設し、通所者が体操やパッチワークなどを楽しんでいる。町の担当者は「住民主体で行っているため、高齢者も参加しやすいようだ」と話す。

 要介護者が増える一方、介護の現場で働く人材は不足している。住民同士が協力し合う「共助」による介護を、それぞれの地域に根付かせていきたい。