【3月28日付社説】雪崩事故/二度と悲劇繰り返さぬよう

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 今回の事故から得られる教訓をすべて生かし、同じような悲劇を二度と繰り返してはならない。

 本県県境に近い栃木県北部、茶臼岳山麓にある那須町のスキー場近くで27日、雪崩が発生して、春山登山の講習会に参加していた高校生らが犠牲になった。県内でも同日、安達太良山で雪崩があり、登山者が巻き込まれた。

 那須町での雪崩は、営業していないスキー場のゲレンデ上方で発生したとみられ、専門家は表層雪崩の可能性を指摘する。

 表層雪崩は、古い積雪の上に降り積もった新雪の層が滑り落ちる現象。通常は1~2月の厳冬期に発生することが多い。気象庁によると、那須町では同日午前1時現在に0センチだった積雪が、午前9時現在で33センチを観測し、26日には雪崩注意報などが出されていた。

 表層雪崩は時速100~200キロにも達し、発生地点から数キロ先まで届くこともある。山中では発生した時点で気付いても逃げるのは困難だ。登山のベテランであっても遭難するケースが後を絶たない。講習会の開催に無理はなかったのか。高校生を助けるすべはなかったのか。残念でならない。

 これから春山登山のシーズンを迎えるが、麓は雨でも、高度を上げれば雪ということがある。登山者や山スキーをする人は、天気予報に注意するとともに、雪崩が起こりやすい地点の情報を集めるなど綿密に行動計画を立ててほしい。状況によっては計画中止や途中で引き返すなど、安全側に振った決断をすることが大切だ。

 那須町の事故は表層雪崩の可能性が指摘されるが、気温が上昇すれば、雪解け水や雨で、積雪と地面との摩擦が小さくなり、斜面の積雪全体が崩れる全層雪崩に対する備えが欠かせない。

 全層雪崩は、積雪面が波打ったり、雪の塊が崩れ落ちるといった前兆現象を伴うことがある。このような現象に注意を払いながら、春山は雪崩の恐れがあることを念頭に置いて行動し、山岳事故を未然に防ぎたい。

 雪崩が起きるのは山中だけではない。会津や中通りの積雪の多い地域の集落や道路では斜面の雪崩に警戒が必要だ。市町村や消防本部は連携を強めて、住民や車両の安全確保のために万全な対策をとるよう求めたい。

 山の斜面にある樹木は滑り落ちようとする雪を止める役割を果たす。森林が荒廃すれば、雪崩を引き起こす可能性がある。山の緑を守り育てていくことも雪崩をはじめとする災害防止につながることを忘れてはならない。