【3月30日付社説】空き家対策/地域資源と捉え活用に力を

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 増え続ける空き家を地域の資源として捉え、有効に活用するために知恵を絞りたい。

 政府は、空き家を高齢者や子育て世帯向け賃貸住宅として登録する制度の創設を盛り込んだ「住宅セーフティーネット法」の改正案を今国会に提出した。高齢者らの住宅確保を進めるため、登録した空き家の改修費や家賃を補助する。国土交通省は今秋にも制度をスタートさせる方針だ。

 自治体の多くは財政難で、公営住宅を新設することが難しくなっている。一方で空き家問題は深刻化している。法改正は、この二つの課題に同時に対応することを目指す。政府は、高齢者や子育て世代の住環境の充実につながるよう制度の周知や、空き家の登録促進に努めなければならない。

 総務省の2013年の住宅・土地統計調査によると、県内の空き家は9万1800戸と推計されている。高齢化や人口減少が進む中、今後も増加が予想される。

 空き家が放置されれば、倒壊したり、放火されたりする恐れがある。そのため政府は一昨年、危険な空き家の所有者に自治体が撤去や修繕を命じることができる「空き家対策特別措置法」を施行した。

 空き家の処分は所有者が責任を持つことが基本だが、危険な家屋の撤去や空き家の利活用を進めていくためには、状況に応じて行政の支援が必要だ。

 県内では「空き家バンク」を設ける自治体が増えている。空き家の所有者が物件を自治体に登録し、自治体がインターネットなどで賃貸や売買物件の情報を移住希望者に発信する。移住者に対し、空き家の改修費用を独自に補助する自治体もある。

 白河市は17年度、市内の空き家を改装して移住希望者に短期間貸し出す「お試し居住」を始める。担当者は「移住のイメージをつかんでもらえるはず」と話し、希望者には空き家バンクを介して空き家の紹介もする考えだ。

 全国でもさまざまな対策が取られている。例えば京都市は、子どもや高齢者らが交流するための居場所や、留学生の住まいなどとして空き家を活用する際、改修や家財の撤去費用を補助している。

 このような先進的な取り組みを参考に、県内でも地域の特徴を生かした空き家対策を展開していくことが大切だ。行政と、不動産業者や地域のNPOなど民間が連携して取り組むことが求められる。

 困りものと見られがちな空き家だが、人口減少を食い止め、地方創生につなげる手だてとして活用法を探っていきたい。