【3月31日付社説】自殺「いじめ要因」/シグナル見逃さない態勢を

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 痛ましい死を繰り返さないために何ができるのか。改めて考える契機にしなければならない。

 会津地方の県立高校で2015年9月に女子生徒(当時2年)が自殺した問題で、県の第三者委員会が調査報告書をまとめた。いじめと自殺との因果関係を認めた上で、学校の不適切な対応も一因だったと結論づけた。

 報告書によると、女子生徒は、部活動で先輩部員から無視されたり、乱暴な言葉で指導されたりした。1人だけ廊下に出されて練習から除外されることもあった。

 これに対して学校側は、担任がトラブルを知り校内の会議に諮ったが、いじめと認識せず、部活動の顧問に対応を任せきりにした。その後女子生徒は休みがちになったが、家庭訪問を通じた見守りなど組織的な対応を怠ったという。

 女子生徒が発したシグナルを見逃さずに、適切に対処していれば悲劇を防げたかもしれない。県教委は、いじめ防止に向けた各学校の態勢を総点検し、組織全体で対応策を徹底すべきだ。

 女子生徒の自殺を巡っては、県教委の第三者委が昨年2月、生徒が所属した部活動を中心にした調査をもとに、いじめはあったが、自殺との直接的な因果関係を認定できないとする報告書をまとめた。

 しかし遺族が再調査を申し立てたため、県はいじめ防止対策推進法に基づき第三者委を設け調べていた。県の第三者委は、県教委の調査になかった精神科医への聞き取りなども行った。この結果、生徒の精神的状況が部活動と関連していた可能性があることが分かり、いじめとの因果関係を認定した。

 再調査は、いじめの発生要因を究明するためには、さまざまな角度からの検証が欠かせないことを示す結果となった。今後の調査にも生かさなければならない。

 いじめは決して許されない。しかし、子どもたちが集団で学び、生活する以上、いじめは、どの学校やどの子どもにも起こりうる。学校は兆候をいち早くつかみ、対応することが肝心だ。

 もちろん、いじめが起こらないよう、人の心を思いやり、豊かな人間性をつくるための教育を充実させて、いじめる側に立つ子どもをなくさなくてはならない。

 いじめを受けた子どもは気持ちが内向し孤独になりがちだ。そうした子どもが気軽に相談できる居場所づくりや、子ども同士がいじめを注意し合える環境づくりが欠かせない。子どもたちを待ち受ける社会は厳しい。荒波を乗り越えることができるような強い心を育む手助けもしてあげたい。