【4月13日付社説】避難者いじめ調査/「199の涙」無にせず再発防げ

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 県内外で多くの児童生徒が避難先でいじめに遭っていたことを重く受け止め、今後の対応に確実に生かしていかなければならない。

 文部科学省は、東京電力福島第1原発事故で避難した小中高校生らに対するいじめについて初の調査結果を公表した。いじめは2016年度に129件、15年度以前に70件の計199件あった。このうち東日本大震災や原発事故に関連があったいじめは13件だった。

 文科省は、避難当初を中心に学校側が把握できていないいじめもまだあるとみている。文科省や県はさらなる実態把握に努め、再発防止策を講じていく必要がある。

 調査は、昨年11月以降、県外に避難した児童生徒に対するいじめが相次いで明るみに出たため実施した。避難中の児童生徒約1万2千人を対象に、震災が関係したいじめの件数や、いじめを認識した際の学校の支援状況を調べた。

 調査では、「福島へ帰れ」と悪口を言われたり「放射能が付くから近づくな」と仲間外れにされたりしたことなどが報告された。

 一方で、9割を超えるいじめは、学校での人間関係や転校による環境変化などが要因と報告された。その多くは学校の支援で解消されたという。

 しかし震災と原発事故が発生してから5年以上を経た16年度になっても、震災と原発事故に関する悪口やからかいがなくなっていないケースもあった。文科省は、調査結果を詳しく分析して学校に伝えるとともに、いじめに遭った児童生徒に対する心のケアを続けてもらいたい。

 県教委は、県外の避難児童生徒へのいじめを防ぐため、全国の教育委員会に本県の放射線教育の実践例をまとめたパンフレットを送った。本県の子どもが福島への偏見についてつづった作文を載せた道徳用教材も全国配布している。

 避難児童生徒を受け入れている学校は授業で活用し、放射線や本県の現状に対する児童生徒の正しい理解につなげてほしい。

 調査結果では、199件のうち県内でのいじめが89件に上り、全体の半数近くを占めた。震災と原発事故に関するいじめはなかったが、看過はできない。

 県内外ではまだ大勢の児童生徒が避難先の学校に通っている。一方、避難指示の解除などを受けふるさとに戻った児童生徒もいる。さらにこの時期は保護者の転勤に伴い転校した児童生徒もいる。

 在校生、転校生にかかわらず、相手の心を思いやり、新しい環境になじむことの大切さを学校や家庭でしっかりと教えたい。