【4月16日付社説】ドクターヘリ/県境越えて「救命網」広げよ

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 隣接県との連携を確実に生かし、一人でも多くの命を救いたい。

 本県と宮城県は、ドクターヘリによる傷病者の輸送について、互いに補い合う広域連携を始めた。広域連携は山形、新潟、茨城各県に次いで4県目となる。

 ドクターヘリは、救急用の医療機器を備え、医師や看護師が乗って救急医療を行う専用のヘリコプター。消防本部の要請を受けて出動し、患者に初期治療を行いながら、手術などを行うことができる病院に搬送する。

 隣接県との連携は、重傷者が多数に及ぶ交通事故が発生したり、出動要請が重なったりした場合などに、県境を越えてドクターヘリを出動させ、それぞれの住民に救命活動を行うという仕組みだ。

 救急の現場では、一刻も早く救急患者に対して治療を始めることで救命率を高め、後遺症を減らすことができる。連携に当たっては、離発着場をきめ細かく整えるなど、ドクターヘリの強みである機動力が最大限に発揮できるようにしなければならない。

 宮城県との連携では、ドクターヘリの基地病院から100キロ圏内を互いにカバーする。これにより本県では、新たに浪江町から富岡町までの双葉郡沿岸部が広域連携の対象に加わった。

 双葉郡は、避難指示の解除が進んでいる。今後、帰還する住民が増えれば、救急医療の必要性は高まるはずだ。その一方で、東日本大震災と原発事故で多くの医療機関は休止状態が続き、入院治療が必要な急患に対応できる病院がほとんどない。県は、ドクターヘリの広域連携を、双葉郡の地域医療の再生につなげてもらいたい。

 本県のドクターヘリは2008年に導入された。福島医大病院に常駐し、県内全域をカバーしている。ここ数年の出動回数は年間約340~440回で推移し、ほぼ毎日1回出動している計算だ。

 本県は県土が広いことに加え、医療機関が都市部に偏在している。病院がない中山間地域では高齢化が進み、救急医療の重要性は増している。本県のドクターヘリが出動中でも、代わりに隣接県が要請に応える連携は欠かせない。

 山形、新潟、茨城3県との連携は13年から順次始まった。本県から出動したり、各県から応援を受けたりして実績を重ねている。

 隣接県では栃木、群馬両県でもドクターヘリを導入している。両県と連携できれば、県内全域をカバーできる体制が整う。県は両県との協議を進め、命を守るためのネットワークの充実を図らなければならない。