【4月27日付社説】今村復興相辞任/おごりと緩み自覚し改めよ

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 今村雅弘復興相が、東日本大震災の被害に関し「まだ東北で良かった」と被災者を傷つける発言をした責任を取って、辞任した。

 今村氏は今月4日にも、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者の帰還を巡り不適切な発言をしていた。このときは「言葉の使い方が良くなかった」などと釈明し言い逃れたが、今回は事実上の更迭に追い込まれた。

 今村氏の在任期間は昨年夏の就任からわずか8カ月余。就任時には「東北の復興には日本人の価値が問われている」と言い切っていたが、発言からは担当大臣として被災者と向き合い、地域再生を目指す覚悟があったとは思えない。

 反省があれば自らを律することはできる。しかしこれまでの発言を含めて察するに、反省どころか自覚さえなかったのではないか。そうでなければ無神経な言葉を発することなどしないだろう。大臣として資質に欠けていたと言わざるを得ない。辞任は当然だ。

 今村氏以外にも復興を担う閣僚や政務官の失言、身辺トラブルが相次ぐ。前任の高木毅氏は「政治とカネ」などを巡り野党から追及を受けた。務台俊介内閣府・復興政務官は被災地で職員に背負われて水たまりを渡った姿が批判を浴び、その後、事実上更迭された。

 安倍晋三首相は、震災復旧・復興を最優先課題に掲げ、きのうも「東北の復興、福島の再生に全力で取り組んでいく」と述べた。しかし一方で、3月に行われた東日本大震災追悼式の首相式辞からは「原発事故」の文言が消えた。復興相の交代も頻繁だ。

 これらは政権発足後の衆参両院選挙で自民党の大勝利が続き、政権全体におごりと緩みが生じる中で、震災と復興に対する内実が必ずしも伴っていない安倍政権の姿勢の表れではないのか。

 震災から6年が過ぎたが、原発の廃炉作業の先行きは見通せず、帰還困難区域が依然として残る。復興は途上だ。首相と政権幹部は初心に戻り、復興への取り組みを真剣に考えるべきだ。首相には改めて指導力の発揮を求めたい。

 後任の復興相には、吉野正芳氏(衆院福島5区)が就いた。いわき市出身で、衆院震災復興特別委員長を務めており、被災地の状況はよく分かっているはずだ。本県をはじめ全国の被災地の復興に心血を注いでほしい。

 きのう、参院東日本大震災復興特別委員会で採決が予定されていた福島復興再生特別措置法改正案は、本県の復興に向けた重要政策が盛り込まれている。今国会で確実に成立させてもらいたい。