【5月3日付社説】古希迎えた憲法/理念磨き充実させる契機に

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 きょうは「憲法記念日」。戦後日本の羅針盤を担ってきた憲法は施行から70年の節目を迎えた。

 社会の在り方や国際情勢が大きく変化する中、私たちは憲法が掲げる理念を実現できているだろうか。意義と役割をあらためて考える契機にしたい。

 「新憲法をつらぬいている民主政治と、国際平和の輝かしい精神を守りぬくために、全力をつくすことを誓おう」

 1947(昭和22)年5月3日に発行された小冊子「新しい憲法 明るい生活」はそう呼び掛けた。作成したのは帝国議会に設置された「憲法普及会」。2000万部を全国の家庭に配布した。

 各章には「人はみんな平等だ」「もう戦争はしない」「私たちのおさめる日本」などの見出しが並ぶ。基本的人権の尊重、平和主義、国民主権―。憲法の「理念」を国民に分かりやすく解説した内容と言える。

 基本理念をキーワードにして考えてみたい。まずは「基本的人権の尊重」だが、人々の人権は本当に守られているのか。グローバル経済の下、富の集中と格差・貧困の拡大が指摘される。インターネット上では人格を傷つけるような言説が拡散する。男女は平等だと胸を張れるだろうか。

 「平和主義」はどうか。日本はこの看板の下、海外で武力行使をせずに現在を迎えている。東西冷戦が終結し、テロや紛争が相次ぐ不安定な時代に入った。北朝鮮情勢は緊迫している。その中で「平和主義」をどう具現化するのか。対立や軍拡競争に加担しない外交と国際貢献を議論したい。

 「国民主権」は機能しているだろうか。国会では少数意見を切り捨てるかのような強硬運営も目立つ。どのように政治を進めていくかは、有権者が選挙で投じる1票、1票の積み重ねの結果だ。しかし国政選挙をはじめとする各種選挙での投票率は低下している。有権者一人一人が向き合わなければならない課題と言える。

 安倍晋三首相は、在任中の憲法改正に強い意欲を示し、国会では憲法審査会で議論が行われている。憲法審査会での各党の議論で一致するのは、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三大原則は国民に定着しており、今後も堅持するという点だ。

 時代の変化に合わせて、憲法を見直すとしても大切なのはその方向性だ。求められるのは憲法の基本理念を充実させ、より良いものへと磨き上げていく建設的で深い議論である。「古希の憲法」の普遍的価値を再確認したい。