【5月10日付社説】広野に早大研究拠点/浜通り復興に連携の成果を

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 大学が持つ専門的な知識と人材を生かし、浜通りの復興に向けた学術研究拠点として成果を上げてもらいたい。

 早稲田大は今月25日、大学が相双地域に設ける研究・活動拠点としては初となる「ふくしま広野未来創造リサーチセンター」を広野町に開設する。

 センターは、広野町をはじめ周辺市町村や団体などと連携し、東日本大震災と原発事故からの復興と地域再生のあり方を探る学術研究拠点となる。

 原発事故の避難市町村では、若い世代の多くが避難を続けており、まちの再生を担う人材が不足しているのが現状だ。研究者らの取り組みが地域再生のけん引役を果たすよう期待したい。

 センターは、環境・エネルギー問題やまちづくりの調査研究を行っている「早大環境総合研究センター」の学外組織として、広野町に事務所を設ける。設置期間は2022年3月までの5年間を予定しているが、場合によっては延長する。

 研究者らは、住民とともに地域再生に向けてさまざまな課題を掘り起こし、解決策を考えてそれを実践する。研究に当たっては、地域のNPOなどで活動する人たちを地域研究員に招き、一緒に活動する予定でもいる。

 研究者らと地域研究員の共同作業は、行政とは異なった視点で課題を発掘し解決策を導き出すことが期待できる。民間ならではのより新鮮な提案を自治体に行うなど住民と行政の橋渡し役も果たしてほしい。その上で提案の実現に向けた十分な連携を求めたい。

 センターはまちづくりとともに、地域の将来を担う人材育成にも取り組む。ふたば未来学園高などに講師を派遣することを調整する考えで、将来的には連携事業の実施も見据えている。

 国は、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想で、大学が高校などと連携して復興をリードする人材を育てる「大学教育拠点」の整備を計画している。早大のセンターはモデルケースといえる。

 相双地域には、大学や短大がない。古里で高等教育を受ける機会が広がれば、子どもたちにとって有意義だ。構想を進める国、県はこうした取り組みを支援することで拠点整備に関する課題を洗い出し、さらなる大学の教育・研究拠点の誘致を目指すべきだ。

 研究者や学生らが本校から通ったり、地域に滞在したりすれば、交流人口が拡大し、地域がさらに元気になるだろう。