【5月11日付社説】自転車推進法/良さ生かす環境整備に力を

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 自転車は、健康増進や環境保護にも効果がある身近で便利な乗り物だ。だれもが安全で楽しく自転車を利用できる環境を整えたい。

 自転車を社会的な交通手段として位置づけ、その役割拡大を図る「自転車活用推進法」が今月1日から施行された。

 同法は、自転車の活用によって国民の健康増進や交通渋滞の緩和、二酸化炭素の削減、災害時の交通手段確保などにつながると明記した。自転車専用レーンの整備や交通安全教育の充実、自転車を活用した観光誘客と地域活性化など14の重点施策を掲げた。

 政府には自転車活用の目標や財政上の措置などを盛り込んだ推進計画を定めることを義務づけた。都道府県や市町村にも地域の実情に応じた計画の策定を求めた。

 自転車は通勤や通学、買い物などで多くの人が利用する。最近は健康志向の高まりで愛好家が増加傾向にある。より一層自転車を利用しやすくなるよう県や市町村は計画策定を着実に進めてほしい。

 自転車を安全で快適に利用するためには、歩行者と自転車のすみ分けができる自転車専用レーンの整備が有効だ。しかし県内で整備が進んでいるのは都市部など一部にとどまっている。県や各市町村には法の施行を契機として捉え、計画的な整備を求めたい。

 全国の自治体では自転車愛好家を呼び込み、地域振興につなげようという動きも見られる。

 毎年、自転車の国際的なロードレース大会を開いている宇都宮市は「自転車のまち」をキャッチフレーズに、愛好家の誘客に成果を上げている。サイクリングコースを整備したり、公共施設やコンビニを「自転車の駅」に指定して自転車の工具などを貸し出したりしている。

 県内にも、会津若松市と喜多方市を通る大川喜多方サイクリングロードや、須賀川市から郡山市に至るみちのくサイクリングロードなど四季折々の風景を楽しめる自転車道がある。いわき市では海沿いに延長約53キロのコースを整備中だ。官民が知恵を出し合い、地域にある資源をまちづくりに生かしていきたい。

 自転車が歩行者や車と共存するためには交通ルールとマナーの徹底が欠かせない。街を歩いていると自転車の右側通行や並走、夜間無灯火などを目にする。県内では昨年、自転車に乗って事故に遭い、けがをした人は562人に上り、11人が亡くなった。学校や地域で安全教育の充実を図り、自転車も交通社会の一員だという自覚を広く定着させていくことが大切だ。