【5月12日付社説】浪江に水素拠点/新エネ先進県のシンボルに

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 新エネルギー先駆けの地を目指す本県のシンボルとなるよう着実に計画を進めたい。

 県は、世界最大級の製造能力を持つ水素製造工場の建設候補地として浪江町を選び、国に推薦することを決めた。今夏にも国立新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が最終決定する。

 候補地は、東北電力が浪江町に無償譲渡する浪江・小高原発の旧建設予定地と町有地を合わせた約169ヘクタールで、うち約40ヘクタールを造成、拠点整備に利用する計画だ。

 製造拠点は、本県を水素エネルギーの一大生産地とすることなどを掲げる「福島新エネ社会構想」の核となる。候補地選定を機に、構想実現へ弾みをつけたい。

 候補地選定を巡っては、浪江、福島、郡山の3市町の5カ所が検討の対象となった。その結果、浪江町は早期に着工できること、費用が低く抑えられる点などが総合的に評価された。

 浪江町は、第2次復興計画の中に「水素エネルギーを活用したまちづくり」を盛り込んでいる。町に製造拠点が建設されれば、計画は具体的に前進することになる。

 製造拠点の整備事業は東芝、東北電力、岩谷産業の3社が、NEDOの委託を受けて昨秋から取り組んでいる。施設は来年夏にも着工、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までの運転開始を目指す。

 拠点には、燃料電池自動車で1万台分の水素を製造することができる装置を設置する。また、水素をつくるために使う電力を再生可能エネルギーで賄うために太陽光発電設備も整備する。

 製造した水素は、液化して県内外の水素ステーションへの販売を検討している。製造と併せて輸送や貯蔵技術の実証事業も行い、水素が有効に活用できるシステムづくりに取り組む。

 「県産水素」が東京五輪・パラリンピックの選手村で使われたり、全国の水素ステーションなどに供給されたりすれば、本県の復興が進んでいることを国内外に示すことができる。

 水素は、利用する時に二酸化炭素(CO2)を出さない環境に優しいエネルギーとして注目されている。しかし現在は水素をつくる段階で化石燃料を使う場合が多くCO2が発生している。

 水素製造拠点では、再生エネルギーでつくる電力を使うため、水素の製造から使用まで一貫してCO2を出さない「CO2フリー」が実現できる。世界の最先端を行くCO2フリー水素のモデルを本県から発信したい。