【5月17日付社説】森林除染偽装/徹底解明し不正の芽を摘め

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 貴重な復興予算を食い物にするようなことはあってはならない。徹底的に解明すべきだ。

 福島市は、市発注の生活圏森林除染業務を巡り、除染業者が、現場の森林を竹林と偽って報告、規定の10倍の除染費用を不正請求していた疑いがあると発表した。

 除染費用は既に支払われており、市は業者側が不正に得た金額は1000万円を超えるとみて、刑事告訴も視野に入れて事実関係を調べている。不正受給の面積は拡大する可能性も指摘されている。不正の芽を摘むためにも市は調査を急ぐべきだ。

 市によると、除染の工事単価は1平方メートル当たり約510円だが、チェーンソーで伐採する必要があるような太い竹がある竹林の場合は同約4600円が加算される。
 3次下請けとして除染に当たった業者は福島市松川町の現場で、竹の切り株を一定間隔に並べ、竹を伐採したかのように偽装した写真を元請けの共同企業体を通じて市に提出、水増し請求していた。

 さらに、ほかの場所で撮影した写真の場所の表示を画像ソフトで書き換え、竹を伐採したかのように偽装する写真も提出している。元請けの現場責任者は本紙の取材に対して「告発があるまで不正に気付けなかった」と話している。

 除染作業の受注形態は、元請けから1、2、3次などと下請けが重層化し、実態が見えにくいことが以前から指摘されている。今回の偽装事案発生によって、あらためて元請け会社と下請け会社間の管理・監督体制の在り方が問われることになる。

 不正に気付かなかったのは市も同じだ。市は「竹林」と認定する際、現場確認をしていなかった。市職員自らが現場に足を運び確認していれば不正を防ぐことができたかもしれない。市が除染の際に委託している「監理員」を有効に機能させるなどして、不正を見抜くことができるよう体制を強化しなければならない。

 除染を巡っては、今年3月に浪江町の除染で、環境省職員が絡む贈収賄事件が発覚し、現在裁判が行われている。このほかにも除染土が発生した場所を偽って報告したり、賃金の未払いだったりなどの問題が起きている。

 生活圏の森林除染は、県内の4586ヘクタールで計画され2月末現在で約8割が終わっている。福島市などの市町村が本年度中の完了を目指している。国による帰還困難区域の除染はこれからだ。市町村や県、国は適正な除染が確実に行われるようそれぞれの立場で責任を果たさなければならない。