【5月19日付社説】県産清酒V5/金字塔を復興のシンボルに

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 「5年連続日本一」という金字塔を本県復興のシンボルとして生かしていかなければならない。

 日本酒の出来栄えを競う「全国新酒鑑評会」で、県内の蔵元が出品した22銘柄が金賞を獲得した。宮城や山形、兵庫県など名だたる酒どころを抑えての快挙だ。

 金賞受賞数日本一の栄誉は、酒蔵一社一社が、品質を向上させるためにたゆまぬ努力を続けてきた結晶だ。民と官が協力して全体のレベルアップを目指してきた成果でもある。取り組みを継続し、揺るぎない地位を確立したい。

 県産清酒を巡っては朗報が相次いでいる。南部杜氏(とうじ)自醸清酒鑑評会では純米吟醸酒の部で県産酒が上位を独占、世界最大規模のワイン品評会の日本酒部門では3蔵元4銘柄が金賞を受賞した。県産清酒の実力が高次元で安定していることの証しだ。今後も味や香りにいっそう磨きをかけてほしい。

 きのうの記者会見で新城猪之吉県酒造組合会長は「蔵元の思いが足し合わさった結果だ。身が引き締まる」と決意を新たにし、内堀雅雄知事は「百聞は一見にしかず。国内外に売り込みたい」とトップセールスの強化を誓った。

 連覇を積み重ねることで県産清酒の認知度は高まりつつある。日本一を旗印に、農業や食品、酒器などさまざまな関連産業への効果の波及や、酒蔵を中心とした観光促進など、地域経済の活性化につなげることが肝心だ。

 しかし勝利の美酒に酔いしれてばかりはいられない。酒類全体を取り巻く国内環境は、人口減少や高齢化、若者のアルコール離れなどから厳しく、消費量は減少傾向にある。まして本県産は根強い風評にさらされている。他県の蔵元との激しい競争もある。

 これらを克服していくためには国内で活路を見いだす取り組みを続けるだけでなく、輸出増や訪日外国人への対応について、これまで以上に力を入れる必要がある。

 国産清酒の輸出額は日本文化・日本食ブームを背景に7年連続で過去最高を記録している。政府はクールジャパン戦略の中で日本産酒類の輸出促進を掲げ、販路拡大など支援施策を打ち出している。

 訪日外国人が日本滞在中にしたことの満足度では、「日本酒を飲む」が8割超という高い評価を受けている。本県には日本一の酒があり、郷土料理や伝統文化、歴史、豊かな自然など外国人にアピールする材料がそろっている。

 県産清酒に吹く追い風を確実に捉え、さらなる風を本県から巻き起こす。日本一の好循環をさまざまな分野につくりだしたい。