【5月20日付社説】指定廃棄物処分/安全を確保し着実に進めよ

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 東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の処分は本県の復興を進めるために不可欠だ。安全を確保しながら着実に計画を進めてもらいたい。

 原発事故で発生した県内の指定廃棄物を富岡町の処分場で最終処分する国の計画について、伊藤忠彦環境副大臣は、搬入路がある楢葉町の地元行政区と安全協定が結べないままでも廃棄物の搬入を始める方針を示した。

 環境省は、県や富岡、楢葉両町との調整を経て、早ければ6月に搬入路の改修工事に着手する考えだ。工事期間は数カ月とみられ、年内にも指定廃棄物の搬入が始まる可能性がある。

 指定廃棄物は、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル超10万ベクレル以下の汚泥や焼却灰などで、県内では各地のごみ処分場などに約16万トンが一時保管されたままになっている。

 指定廃棄物の最終処分は、除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設の運用と並んで、本県の再生と復興に大きく関わる。処分開始から埋め立て完了まで10年ほどがかかる見通しで、搬入の遅れは復興の停滞を招きかねない。同省の判断はやむを得ない。

 指定廃棄物処分場を巡っては、埋め立て地がある富岡町と搬入路がある楢葉町の2町が2015年暮れに国の計画を了承、16年春には処分場が国有化された。

 国は、同年度中の搬入開始を目指し、県や富岡、楢葉の2町と安全協定を締結。2町の4行政区とも協定を結んで搬入を始めるとしてきた。しかし楢葉町の上繁岡、繁岡両行政区との調整が長引いていることから方針を転換した。

 楢葉町の松本幸英町長は「行政区との協定締結が条件ではないものの、締結後に事業を進めるのが望ましい形だ。引き続き(住民の説得を)丁寧に進めてほしい」との認識を示す一方で、「搬入時期については国の判断」と述べ、環境省の方針に応じた。

 一部住民は、搬入時の安全性などについて懸念を抱いている。国は、これらの声にしっかり耳を傾けて最大限の安全対策を示すとともに、処分場の必要性について説明を尽くし、理解を得る努力を続けなければならない。

 安全協定には、国が安全確保の方針を策定することや防災体制の強化に努めること、県や両町が立ち入り検査で安全確保をすることなどが盛り込まれている。計画を着実に進めるためには安全対策とともに情報公開も求められる。国には責任ある対応と信頼の確保をあらためて求めたい。