【6月16日付社説】自動車盗難急増/先手打ち被害にブレーキを

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 日々の暮らしや仕事に必要な自動車を盗難から守るために先手、先手で策を講じるべきだ。

 県内で自動車の盗難が相次いでいる。県警によると、今年1~5月の認知件数(未遂を含む)は115件で昨年同期を上回っている。全国ワースト10位で、東北での被害の7割弱を占める。

 特にいわき市での盗難が急増しており、同市の認知件数は昨年比で倍増している。ハイブリッド車(HV)などに加え、クレーン付きトラック(通称・ユニック車)などの盗難が目立つ。県警は、窃盗グループの摘発に全力を挙げてもらいたい。

 警察庁の犯罪統計によると、盗難被害は太平洋沿岸に集中している。昨年は、茨城県が1590件で全国で最も多く、千葉県も1538件で全国ワースト3位だ。被害が全国で減少しているにもかかわらず、両県では多発している。

 両県で摘発された窃盗グループなどは、自動車を解体するための「ヤード」と呼ばれる施設を悪用し盗んだ車を解体していた。解体した部品などは、日本車や重機などの需要が高い東南アジアなどに輸出したとみられる。

 ヤードを使って自動車の解体などを行うほとんどの業者は公安委員会の許可を受けている。しかし高速道路や港があり、比較的地代の安い地域で窃盗グループが不法にヤードをつくるケースがある。犯罪に悪用されるような施設をなくさなければならない。

 茨城、千葉両県はヤードが悪用されにくい環境を整えるため条例を制定した。条例では土地を高い塀で囲み、外部からは中の作業が確認しにくい施設を規制対象に位置付け、管理者などの届け出のない施設を不法なヤードとした。

 条例が4月に施行された茨城県では、今年の自動車盗難の認知件数が昨年比で4割弱減った。

 その一方でいわき市で自動車盗難が急増する背景には、茨城県の条例を警戒した窃盗グループが同市に流入している可能性があると県警はみている。本県も、不法なヤードをつくらせないための条例制定を検討すべきだ。併せて港湾の警備強化などを進め、自動車盗難防止への態勢づくりを急ぎたい。

 取り締まりや規制を強化する一方で、県民は被害防止の自衛策が大切だ。盗難現場は暗い場所や門扉がない駐車場、幹線道路沿いの会社などが多い。防犯カメラやセンサーライトなどの防犯設備を設けたい。タイヤが回らないようにする車輪ロックも有効だ。一人一人ができる対策を徹底し、増加する被害にブレーキをかけたい。