【6月22日付社説】県産品の風評対策/戦略練り直し実効性高めよ

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 どうすれば県産品を手に取り、買ってもらえるか。戦略を練り直し、実効性を高めるべきだ。

 県が、県内と首都、阪神、中京の各圏、北海道、沖縄県の消費者計1500人を対象に、東京電力福島第1原発事故に伴う県産品のイメージを調査した。

 結果から見えるのは、県外での県産品に対する不安の根強さと、出荷前に行っている放射性物質検査を知らない人の増加、そして県産品が店頭に並べられていない現状だ。県は現実を直視して、確実に手を打たなければならない。

 県産品を安心して食べられるかとの問いに「そう思う」「ややそう思う」人は、県内が8割強に対して、県外は6割強にとどまる。これは放射性物質検査を実施していることについて「知らない」人が県内では1割未満だったのに対して、県外が4割強にも上る状況の反映とも言える。県外で検査実施を知らない人は調査を重ねるたびに増える傾向にある。県産品を安心して食べてもらうためには情報発信の維持強化が欠かせない。

 一方、県産品を「買いたい」「買ってもよい」人は野菜・果物で7割弱、コメで6割強いるが、「実際に購入している」人は野菜・果物が3割に満たず、コメに至っては1割強しかいなかった。

 調査では、県産品を店頭で「見かける」人が野菜・果物で4割強、コメで3割強にとどまっていることも分かった。この状況を改善しなければ、消費者は県産品を選ぶ機会さえ持てないことになる。

 農林水産省は県産品の流通実態を調査中だが、原発事故後に変化したと指摘される流通構造の奥深くまでメスを入れなければ、有効な対策を講じることはできない。

 JA福島中央会が首都圏で行ったアンケートでは「県産品に不安はないが買わない」という「隠れ風評層」の存在も明らかになった。風評が固定化しつつある現状を打破するためには微妙な消費者心理にも配慮した方策が必要だ。

 正確な情報発信が一層求められるのは国内に限らない。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は19日、「脱原発」を宣言した演説の中で福島第1原発事故に触れ、「漏えいした放射性物質による死者やがん患者の数は把握も不可能な状況だ」と述べた。本県の状況を全く理解していないと言わざるを得ない。

 韓国はいまも県産品の輸入規制を続けており風評もやまない。トップの発言は重く影響は計り知れない。県や政府は、こうした発言に即座に反応し、認識を正すよう努めなければ、風評対策は一歩も前進しないことを銘記すべきだ。