【6月23日付社説】がん対策の新計画/安心して治療できる環境を

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 がんの早期発見や、患者が安心して治療を受けることができる環境を整える契機にしたい。

 厚生労働省は、本年度から6年間のがん対策の方向性を定める「第3期がん対策推進基本計画案」をまとめた。〈1〉がん予防〈2〉がん医療の充実〈3〉がんとの共生―を柱に、がん検診の受診率向上や、患者が働き続けるための支援策を盛り込んだ。近く正式決定する。

 昨年亡くなった県民の約4人に1人はがんで、1984年からずっと死因の第1位だ。人口10万人当たりのがんによる死者数は339人で、全国13位となっている。

 県と市町村は、新たな基本計画に基づいてがん対策を推進する。医療機関などとの連携をより密にしながら、実効性のある施策を進めていかなければならない。

 がんを早期に発見し、完治につなげるためには検診を定期的に受けることが不可欠だ。

 しかし県によると、2015年度の胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸(けい)がんの検診受診率は26~44%と低迷している。

 がんの疑いがあった場合に行う精密検査を受けた人の割合は大腸がんが75%と低く、残りの四つのがんも80%台にとどまる。

 新基本計画では検診受診率を50%、精密検査は90%に高めることを目指す。実現には検診を受けやすい環境を整えることが必要だ。

 県は本年度、まちなかなど人が集まる場所にがん検診の会場を設けて短時間で受診できるようにする「クイック検診」と、女性の医師とスタッフが検診を担当する「レディース検診」の実施を目指している。県は、各市町村に理解を求め、実施機会を増やしてほしい。

 ボランティアとして職場や地域で受診を働き掛ける「がん検診推進員」は、県が制度を開始してから5年間で約3千人まで増えた。

 人的資源を十分に生かし、より多くの人に受診を勧めたり、バランスの良い食事や適度な運動など健康な生活習慣の普及に力を入れていくことも大切だ。

 がんは、日本人の2人に1人がかかる時代になっており、働きながら治療している人も多い。しかし内閣府の調査では、通院と仕事の両立について「困難」と答えた人が約65%に上っている。

 国は長時間労働の是正など「働き方改革」を進めている。病気になっても仕事を続けられるよう、短時間勤務や在宅勤務など柔軟な雇用の在り方を検討するべきだ。患者が病と向き合いながら働くことができる職場環境をつくっていくためには、事業者の理解を深めていくことも欠かせない。