【7月14日付社説】インフラ老朽化/安全確保へ担い手育成急げ

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 橋やトンネルなど社会インフラの老朽化が進んでいる。安全を確保するためには維持修繕ができる技術者の育成が待ったなしだ。

 国や県、建設業界、教育機関などの13団体は、社会インフラの維持修繕に必要な点検・診断技術を持った土木技術者を育成するための産学官組織「ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会」を設立した。

 多くのインフラは高度経済成長期に整備され、劣化や損傷の恐れがある。県が管理する橋やトンネル、スノーシェッドなどの道路施設も半数以上が建設から40年以上が経過。施設の点検や補修などの需要が高まっているが、その一方で懸念されるのが、担い手である土木技術者の人手不足だ。

 特に本県は県土が広いため、地域の社会インフラの特性を熟知した技術者が必要とされている。

 このため協議会は、本県独自の技術者育成プログラムを作り、建設業と行政の技術者を対象に講習を行う。橋など構造物の維持管理に関する知識を養い、劣化状態を的確に判断できる技術者を育成し「メンテナンス・エキスパート(ME)」として資格認定する。

 現場で必要となる知識や技能を受講者が十分に習得できるよう、加盟団体は育成プログラムの作成に知恵を出し合ってもらいたい。

 講習は、MEの基礎資格と上位資格を取得する2コースを設ける。基礎コースは年内に開講、3年程度で約500人の受講を目指す。基礎コース修了者には、社会インフラの点検計画の立案や健全度診断ができる人材を育成する上位コースの受講を薦める考えだ。

 講習の成果を上げていくためにも協議会は建設業者に認定制度を広く周知し、より多くの技術者の受講を働き掛けてほしい。

 県は競争入札の際、MEの認定を受けた技術者がいる業者に加点するなどの優遇措置を検討している。市町村も含め、MEがいる業者を積極的に活用していくための仕組みをつくることも大切だ。

 建設業界は近年、人手不足が常態化している。要因として若者が事務系やサービス業に目を向けがちで、ものづくりの仕事に対する関心が低くなっていることなどが指摘される。このため高齢化の進行と技術の継承が大きな課題となっている。

 将来にわたり継続して社会インフラの安全を確保するためには、人材の確保も欠かせない。産学官が協力して、若者らにものづくりの魅力ややりがいを紹介し、建設業界への就業につなげていく取り組みを強めてもらいたい。