【7月26日付社説】溶融燃料/つかんだ糸口確実に生かせ

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 東京電力福島第1原発事故の発生から6年を経て、ようやくつかんだ大きな糸口を確実に生かしていかなければならない。

 東電が第1原発3号機で行った水中ロボット調査では、原子炉格納容器の底部で溶融核燃料(デブリ)とみられる物体を初めて捉えるなどの成果があった。

 22日の調査で水中ロボットは、コンピューター解析で多くのデブリがたまっているとされた格納容器の底部に潜って、デブリの可能性が高い物体を撮影した。

 21日には、原子炉圧力容器の下部付近に同様の物体が複数見つかっており、炉心溶融(メルトダウン)によってデブリが格納容器の下部に広く分布していることが裏付けられた形だ。

 これまでに、3号機と同様にメルトダウンを起こした1、2号機の格納容器内の調査でデブリとみられる物体が撮影されたことはあったが、東電がデブリの可能性が高いと明言したのは初めてで、廃炉の進展に向けた重要な一歩といえるだろう。

 しかし、手放しでは喜べない。実際にこれらを取り出すのは容易ではないからだ。例えば、極めて高い放射線量の中でデブリや散在する構造物を解体する、専用機器を開発しなければならない。さらに機器を据え付けるにしても原子炉建屋内の放射線量は高く、作業員の安全を確保するために大規模な除染が不可欠だ。

 立ちはだかる課題が山積していることを改めて肝に銘じ、廃炉技術と工法確立のために国内外の英知を結集しなければならない。当然、費用の確保も欠かせない。国には東電任せにせず、前面に立って取り組むよう重ねて求めたい。

 政府と東電が示している中長期ロードマップ(工程表)では、今年夏ごろに号機ごとのデブリ取り出し方針を決定。2018年度前半にいずれかの号機で具体的な取り出し方法を確定して、21年中に作業を始めることになっている。

 世耕弘成経済産業相は方針の決定について昨日の記者会見で「9月をめどに決定したい」と述べた。難題の一つ一つを着実に乗り越えていくことができるよう実効性のある計画にすることが肝要だ。

 廃炉を進めるに当たって大切なのは、県民、国民はもちろん世界中の人々の理解と信頼を得るよう努めることだ。政府や東電は廃炉作業や調査で明らかになった事実や作業の進捗(しんちょく)状況を分かりやすく迅速に伝えることが廃炉を着実に進め、いわれのない風評を拭うために必要であることを決して忘れてはならない。