【8月4日付社説】改造内閣発足/復興加速へ仕事人の気概を

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 安倍晋三首相が、内閣改造と自民党の役員人事を行った。

 首相は今回の改造内閣を「結果本位の仕事人内閣」と位置付けるが、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興についてはどう考えているのか。

 記者会見で首相は、留任となった吉野正芳復興相を紹介する形で「東北の復興なくして日本の再生なし。現場主義を徹底し、被災地の声を復興につなげてほしい」と語ったが、首相として復興にどう取り組むのか。その気概が伝わってこなかったのは残念だ。

 震災と原発事故の発生から6年5カ月近くがたつが、避難地域の復興は始まったばかりで、県全体を見渡しても、農林水産物を中心に風評被害が収まっていないのが実情だ。本県は足踏みをしている余裕などないことを認識し、復興の加速化に力を入れるべきだ。

 復興に関わる主要ポストをみると、復興相の吉野氏と経済産業相の世耕弘成氏は留任し、新しい環境相には中川雅治氏が就いた。

 復興相は復興政策を一元的に担う責任、経産相は原発の廃炉と汚染水対策の確実な進捗(しんちょく)、環境相は除染土壌を保管する中間貯蔵施設の整備や管理運営などそれぞれ重要な任務を持つ。中川氏は環境事務次官を務め環境行政のプロと言えるが、今度は大臣として本県の再生に実行力を示してほしい。

 改造内閣と自民党執行部は強い逆風の中の船出となる。加計(かけ)学園問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報問題などで国民の信頼が損なわれているからだ。閣僚経験があるベテランを総動員した感のある布陣から透けるのは「絶対に失敗できない」という首相の危機感だ。

 実際、閣僚メンバー19人の中で、第2次安倍政権以降の入閣経験があるのは留任や横滑りを含めて11人。残る8人のうち総務相に就いた野田聖子氏は第2次政権発足時に党総務会長を務めた。

 党執行部は大派閥のバランスに配慮し、党四役のうち2人は70歳以上の重鎮であるなど刷新感は薄い。「ポスト安倍」を目指す岸田文雄氏の政調会長就任も党亀裂を避ける思惑が見え隠れする。

 各種世論調査で内閣支持率が落ちた原因は、強引な国会運営や答弁がもたらした有権者の政治不信だ。堅い守りの布陣で憲法改正や経済再生、教育無償化といった「政策遂行」を訴えても、真摯(しんし)に説明責任を果たす謙虚な姿勢を伴わなければ信頼回復はおぼつかない。「安定」と「人心一新」にうたう内閣は本当に実力を発揮できるのか。国民は注視している。