【8月5日付社説】誤認と公表遅れ/全く危機意識に欠けている

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 なぜ同じようなことが繰り返されるのか。再々指摘している危機管理や安全意識の欠如が改善されているとはとても言い難い。

 東京電力福島第1原発の4号機近くの「サブドレン」と呼ばれる井戸の水位が一時低下し、原子炉建屋地下の汚染水の水位と逆転して、汚染水が外部に漏えいする恐れがあった。東電は当初、水位計の故障と誤認していた。

 第1原発では、建屋地下にたまる汚染水の漏えいを防ぐため、周辺の井戸を使って地下水の水位が汚染水より高くなるよう調節している。2日午後6時半ごろ、井戸の水位が低下して警報が鳴ったが、東電は水位計の故障と誤って判断し、現場も確認していなかった。

 3日午前に現場を確認したところ、水位計は故障しておらず、実際に水位が低下したと判断。同日夜になって記者会見し公表した。東電は「安易に計器の故障と判断すべきではなかった」として、今回の対応を検証するとしている。

 第1原発をきのう視察した原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長代理は「連絡の遅れは東電の姿勢に関わる問題だ。水位の逆転は最も恐れていることの一つだ」と述べ、近く東電から情報収集する考えを示した。

 建屋地下の汚染水漏えいにつながる井戸の水位低下が確認されたのは初めてであり、更田氏が東電の対応を厳しく批判したのはもっともなことだ。

 東電の企業体質を問われるような事案は後を絶たない。第1原発では昨年12月、3号機の原子炉内を冷やす注水が停止した際、ポンプの停止を知らせる警報に関して点検作業が原因と誤って判断、注水再開が遅れた。第2原発では昨年11月の地震で2~4号機の使用済み核燃料プールから水があふれたが、東電は「第2原発は通報案件ではなかった」として公表は2日後だった。

 第1原発では3号機で溶融燃料(デブリ)とみられる物体が初確認され、9月にも取り出し方法が決まる予定であり、廃炉作業は本格化する。安全確保と危機管理の徹底は基本中の基本であり、東電はあらゆる可能性を想定した安全対策などを講じる必要がある。

 東電は6月下旬に、川村隆新会長、小早川智明新社長による新体制がスタートした。新体制発足に当たって両氏は、本県の復興に最優先で取り組み、本県への責任を果たす考えを示している。有言実行するためには、旧来の悪弊を正し、安全文化をはじめとする健全な企業風土を築くことが不可欠であることを銘記すべきだ。