【8月8日付社説】「FIT構想」延長/ブランド確立へ次の一手を

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 3県に共通する人口減少や東京電力福島第1原発事故の風評など課題克服に向けて、いっそうの連携強化を求めたい。

 福島、茨城、栃木3県でつくる「FIT構想推進協議会」は、2018年度で期限を迎える構想の推進期間を10年程度延長する。延長は09年度に次いで2度目。

 同構想は、いわき、県中、県南、南会津の県内20市町村に加えて、茨城県の6市町、栃木県の10市町を合わせて県際にある36市町村と3県が「FIT地域」とし、県の枠を超えて地域活性化に取り組んでいる。

 1987年にスタートしてから30年。道路網など交通インフラの拡充や首都機能移転などをめぐって連携してきたが、課題は時代とともに変化している。

 一方で、同地域は首都圏に近く、海や山といった豊かな自然や文化など優れた資源がたくさんあるが、十分に生かされているとは言い難い。推進期間の延長を有効に生かして、県際地域はもちろん、3県全体の発展に結び付けることが重要だ。

 協議会は本年度中に今後10年を見据えて構想を見直す。FIT地域のブランド確立や定住・二地域居住の促進、訪日外国人の誘客を含む広域観光を柱にする方針だ。

 FIT地域はほとんどの市町村で人口減少が続いており、3分の1に当たる13市町村が過疎・中山間地域でもある。

 協議会はこれまで人口減少対策として定住・二地域居住に取り組んでいる。ただ人口減少は全国的課題であり、移住者を呼び込むためには特色を打ち出す必要がある。空き家情報を集約・仲介する「空き家バンク」の開設など独自の事業で競争力を高めるべきだ。

 原発事故による風評被害を受けているのは本県だけではない。茨城、栃木両県でも観光や農産物などに対する風評が残っている。

 同地域は、年間1千万人近くの観光客が訪れる栃木県の那須高原をはじめ、本県の大内宿、茨城県の袋田の滝など数多くの観光地を抱えている。地域資源をフルに活用した周遊ルートの開発などを通じて、国内外、世代を問わない観光誘客に取り組む必要がある。

 推進期間の延長を機会に、連携の枠組みと施策を総点検するとともに、FITブランドを確立し、情報発信力を強めてもらいたい。