【8月9日付社説】水素製造工場/福島モデルで世界けん引を

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 プロジェクトを着実に進め、県全体を未来の「新エネ社会」を先取りするモデル拠点とする構想実現への大きな弾みにしたい。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、世界最大規模の水素製造工場を浪江町に建設するプロジェクトを採択した。

 東京電力福島第1原発事故で被災した本県を水素エネルギー活用の先駆けの地とする「福島新エネ社会構想」が実現に向けて本格的に動きだすことになる。

 福島新エネ社会構想は、〈1〉再生可能エネルギーの導入拡大〈2〉水素社会実現のモデル構築〈3〉スマートコミュニティー構築―が柱。このうち「水素社会実現」を支えるのが水素製造工場だ。

 事業に取り組むのは東芝、東北電力、岩谷産業の3社。東芝はプラント建設、東北電力は送電網の整備、岩谷産業は水素の貯蔵や輸送を主に担う。3社はこれまでに設備内容や経済性について検討してきたが、採択を受けて、本格的に開発に取り組む。

 水素工場は、東北電力が浪江町に無償譲渡する「浪江・小高原発」の旧建設予定地に造る。128ヘクタールのうち約40ヘクタールを造成し、水素製造施設と太陽光発電施設に充てる。東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年度をめどに実証運転を行う計画だ。

 国は「長期エネルギー需給見通し」で、2030年度における総発電量に対する再生エネの比率について、2013年度の10.7%から22~24%まで拡大を目指すとしている。

 一方で、太陽光や風力などの再生エネは天候によって発電量が変わるため、調整役を務めるエネルギーが必要になる。そこで注目されているのが貯(た)めたり運んだりできる水素を使ったエネルギーだ。今回のプロジェクトは、「作り」「貯め・運び」「使う」システムの開発と実用化を目指す。

 また同工場では、製造過程で使う電力も再生エネで賄うため、発電や製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。いわゆる「CO2フリー」の水素社会実現に向けての貢献も期待できる。

 これらのプロジェクトを成功させて「福島モデル」として確立し、最先端の再生エネ、新エネで世界をけん引したい。

 工場では、年間で燃料電池自動車1万台分の使用量に相当する水素を製造する。東京五輪では燃料電池車・バスに使ったり、競技場や選手村の燃料電池システムで電力と熱を供給することも計画されている。五輪は「県産水素」にとっても大舞台になる。