【8月12日付社説】廃校の利活用/地域に元気もたらす拠点に

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 猪苗代湖の西岸に接する会津若松市湊町。ここに先月末、郷愁漂う交流施設「はら笑楽交(しょうがっこう)」がオープンした。

 同施設は、1999年に閉校した旧原小の校舎を改修・改装して整備した。昭和前期の面影を残す木造平屋の校舎は長らく放置されていたが、地元の住民たちが利活用に向けてプロジェクトをつくり、再生させた。

 日曜日に営業するカフェでは郷土料理「豆腐もち」などを提供するほか、平日も交流スペースで住民らがイベントなどを開く。オープン日は約80人が訪れて活気にあふれた。地域に元気をもたらす拠点として住民の期待は大きい。

 少子化が進む中、学校の統廃合が増え、使われなくなった校舎の利活用が課題になっている。

 県教委によると、県内には廃校になった小中高校の校舎が170ほどあり、うち約3割が未活用となっている(昨年5月現在)。学校は地域住民にとって親しみ深い施設であり、地域の未来を見据えた活用策を探ることが重要だ。

 全国では、小学校の校舎を宿泊可能な「道の駅」に整備したり、中学校の体育館を小型無人機ドローンのテスト飛行場にしたりといったユニークな転用例がある。

 県内でも、廃校した校舎はさまざまに活用されている。アニメ制作会社の福島ガイナックスは、三春町の旧桜中にスタジオとアニメミュージアムを開設し、町の観光振興に一役買っている。北塩原村の旧大塩小では、民間企業がチョウザメの養殖に取り組む。

 廃校で一度は役割を終えた校舎でも、発想の転換によって新たな活用法が見えてくる。上手に生かせば地方創生や、地域経済の活性化にもつながる。

 市町村や県には、効果のある利活用の戦略が求められている。住民の意見も聞きながら、地域の特性に合った再生策を探りたい。
 校舎の改修・改装など初期投資や、施設の維持費などの課題もある。継続して活用することができるよう長期的な視点に立って検討することが大切だ。
 文部科学省はホームページで校舎の再利用を希望している廃校の情報を紹介している。県内の学校は現在、19校が掲載されている。
 文科省は、意欲とアイデアのある企業・団体と自治体を積極的に橋渡しすることで、廃校の有効活用を後押しするべきだ。
 学びやには、住民の思い出が詰まっている。廃校になった校舎に再び息を吹き込むことは、地域に新たな活力を生み出す起爆剤になるはずだ。