【8月16日付社説】子育て支援拠点/福島版ネウボラを増やそう

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 安心して子どもを産み育てられるよう、親子を地域で支え見守る環境を充実させたい。

 妊娠から出産後まで切れ目なく育児を支援する「ネウボラ」と呼ばれる取り組みが注目されている。

 ネウボラは北欧の福祉先進国フィンランドの子育て支援拠点の名称で、「アドバイスの場」を意味する。設置が始まったのは1920年代で、同国には現在約800カ所が設けられている。

 同施設では妊婦と乳幼児の健診・予防接種を行うほか、保健師や助産師などの職員が育児や家庭の相談に乗る。妊娠中から子どもが修学するまで同じ職員が担当するため、それぞれの家庭の状況を把握しやすいのが特長だ。職員が、母親や子どもとの信頼関係を築きやすいことから、産後うつや児童虐待の防止、貧困の把握などにつながっているという。

 日本は昨年6月に児童福祉法を改正し、日本版ネウボラとなる「子育て世代包括支援センター」の設置を市町村の努力義務とした。政府は2020年度までに全ての市町村への設置を目指す。

 県によると、これまで県内では福島や郡山、いわきなど11市町に設置されており、本年度内にさらに4町で開設する見通しという。

 家族を支え、子育ての不安を取り除くネウボラは、少子化対策としても効果が期待できる。県内の各市町村は、前向きに設置を検討すべきだ。

 施設が提供するサービスの内容は自治体に委ねられている。いわき市は先月、市内7地区の保健福祉センターにネウボラを設置、保健師らが妊産婦の個別状況に応じた支援プランを作成するなど継続的な支援を始めた。

 伊達市は、ネウボラの保健師や相談員が妊婦宅を訪問し、離乳食の調理セットなどが入った「育児パッケージ」を贈るとともに、心配ごとの相談に乗っている。

 各市町村は、利用者が必要としているサービスの把握に努め、より良い運営につなげていくことが大切だ。福祉や医療、教育など関係する機関が連携を強め、支援がくまなく行き渡る体制をつくってもらいたい。

 県は、未設置の市町村に対し、すでに始まっている自治体の先進的な取り組みの紹介などを通して必要性を訴え、早期の開設を後押ししてほしい。

 県議会の海外行政調査団は先日フィンランドを訪ね、ネウボラについて学んできた。その経験をしっかりと生かし、本県の実態に即した「福島版ネウボラ」の運営につなげていかなければならない。