【9月3日付社説】受動喫煙防止/「健康最優先」で対策を前へ

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 健康を守る視点を最優先に、受動喫煙防止対策の輪を広げたい。

 郡山市は12月1日から市内の全公共施設を対象に、建物内だけではなく敷地内も全て禁煙とすることを決めた。同市では既に小中学校や保育所で敷地内禁煙をしているが、未実施だった公民館やスポーツ施設なども合わせた約250施設で行う。県内では初めての試みとなる。

 政府は、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止に向け健康増進法の改正を目指している。このうち公共施設については屋内禁煙とする考えだが、全公共施設で敷地内を含めて禁煙とする郡山市はその一歩先を行っている。

 郡山市は、市民に広く取り組みの意義を周知して禁煙を実践してもらい、県内の他の自治体の良き先行事例になってほしい。また、他の市町村には郡山市を参考に、同様の取り組みの導入を積極的に検討してもらいたい。

 県が昨年5月現在で、県内の公共施設の受動喫煙対策の実施状況を調査したところ、建物内と敷地内で全て禁煙だった施設は4割に満たなかった。中でも、子どもたちも利用する体育施設や文化施設は、ともに3割に届かない状況だった。

 たばこが健康を損なうことは科学的に明らかだ。受動喫煙も同様で、国立がん研究センターによると受動喫煙によって肺がんと脳卒中にかかる危険性は1.3倍に高まる。厚生労働省の推計では、日本で受動喫煙による死亡者は年間約1万5000人に達する。

 厚労省の昨年の調査では本県の喫煙率は22・3%で全国で4番目に高かった。県民が健康な生活を送るためには、受動喫煙の防止対策を急ぐ必要がある。

 喫煙率が24.7%で全国で最も高い北海道は、受動喫煙防止条例の制定を目指している。神奈川、兵庫両県は同条例を制定済みで、公共施設内の全面禁煙や、一定規模以上の飲食店にも禁煙または分煙を義務付けている。本県も条例の制定を検討するべきだ。

 国際オリンピック委員会と世界保健機関は「たばこのない五輪」を掲げており、2008年の北京五輪以降は、全ての開催国で受動喫煙防止策の強化が講じられてきた。政府が目指している健康増進法改正も20年の東京五輪・パラリンピックに向けた対策の一つだ。

 東京五輪では、本県で野球とソフトボール競技が行われる。海外からも選手や大勢の観光客が訪れる。健康を軽視する県、国と思われないよう環境を整え、五輪開催地としての責務を果たしたい。