【9月6日付社説】学校の防災機能/避難所としての備え強化を

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 東日本大震災の教訓を踏まえ、学校の避難所としての防災機能の強化を急がなければならない。

 災害時の避難所に指定されている県内の公立学校で、断水でも使うことができるトイレや停電時の電力確保などの備えが進んでいないことが文部科学省の全国調査で分かった。

 東日本大震災の発生時には、大勢の人々が学校に避難して長期間にわたり生活の拠点とした。災害はいつ起こるか分からない。県と市町村は子どもたちや住民を守るための備えに万全を期すべきだ。

 避難所は災害対策基本法に基づき市町村が指定しており、県内では公立小中高校、特別支援学校合わせて749校のうち、約9割に当たる668校が該当する。

 調査結果によると、下水道のマンホールなどを活用する災害対応型トイレを備えているのは15.9%で全国平均を33.6ポイント下回る。また、停電時に電力を確保する自家発電設備などがあるのは32.2%(全国平均53.4%)、耐震性の貯水槽などを備え飲料水が確保できるのは35.8%(同66.4%)にとどまる。

 避難所になっている学校には、お年寄りや車いす利用者ら、避難に手助けが必要な人の利用が想定される体育館や校舎もある。このうち建物の段差をスロープなどで解消しているのは、体育館が34.3%、校舎が29.2%で、いずれも全国で最も低かった。

 9項目ある全ての項目で全国平均を下回り、7項目はワースト10位以内という結果である。

 県は、防災設備の整備が進まない要因について、学校の耐震改修を優先したために財源が割けなかったことなどを挙げる。しかし、同じ被災県の宮城、岩手両県は本県より大幅に整備が進んでいる。本県は、学校の耐震化も全国で2番目に遅れている。県と市町村は耐震改修とともに防災設備の整備も急ピッチで進める必要がある。

 熊本地震を受けて文科省が設けた有識者委員会が昨年7月、災害に強い学校施設整備について、緊急提言をまとめた。提言では、自治体がそれぞれの教育委員会と連携して防災力向上に取り組むことや、あらかじめ学校ごとに施設の利用計画をつくり、避難所を運用していくことを求めている。

 施設の利用計画は、運営本部の場所や避難所内の配置など、円滑な避難生活を後押しするために必要だ。しかし県内の避難所となる学校の約6割は利用計画をつくっていない。学校の防災機能をフルに生かすためにも、学校ごとに施設の利用計画を作成すべきだ。