【9月10日付社説】観光秋・冬の陣/魅力磨き四季を通じて誘客を

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 春と夏だけではなく、秋と冬にもより多くの観光客を呼び込み、1年を通じてにぎわう「観光福島」をつくりたい。

 県は10月から来年3月まで、JR東日本などと連携し、新たな観光企画「ふくしま秋・冬観光キャンペーン」を行う。

 秋と冬の観光で、行政と関係団体が連携して県全体で誘客に取り組むのは初めてだ。本県の観光客は春と夏に比べて、秋以降が2割程度落ち込む傾向がある。秋・冬シーズンの観光客を底上げできるよう、県と県内市町村は一体となって地域の魅力を高めたい。

 本県では2015年、「花」「食」「温泉」をテーマに春の大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン」が実施された。

 今回の秋・冬キャンペーンは「絶景」「食と日本酒」「温泉」をテーマにした。これまでアピールしてきた食と温泉に加え、山々を彩る紅葉なども楽しんでもらいたいとの趣向だ。期間中は、三つのテーマごとに県内各地でさまざまな観光イベントが行われる。

 県が11月5日まで開催している「酒蔵巡り」と、10月1日からの「温泉・グルメ」のスタンプラリーもその一つだ。全国新酒鑑評会の金賞受賞数が5年連続で日本一になった県産酒とともに、県産米のおいしさを味わってもらい、本県の食文化の知名度を上げたい。

 県内各地域の豊かな自然や伝統、文化などをアピールする28の特別企画も用意した。原発事故に伴う避難指示が解除された地域のイベントも盛り込んだ。浪江町が事故後初めて地元で開く「復興なみえ町十日市祭」や、楢葉町と川内村のイルミネーションなどだ。多くの人に復興の歩みを見てもらい、応援団を増やす機会にしたい。

 昨年の本県の観光客数は5276万人で、震災と原発事故前の10年の9割強まで回復した。しかし国全体を見ると訪日外国人が震災前の2・5倍に増えているのに対し、本県は8割強にとどまっているのが現状だ。国内だけではなく、海外からの観光客を増やすことも大きな課題になっている。

 そのため県は今回のキャンペーンでは訪日外国人の誘客に力を入れる考えだ。外国人を対象に県内スキー場のリフトを無料化する。スキー人気が高いオーストラリアなどからの誘客につなげたい。

 県内では、春の観光企画で培った経験を生かし、地域主体で新たな観光イベントを始める動きも出てきた。四季を通じて持続的に観光振興に取り組む体制を県全体に広げることが、観光再生への大きな原動力になる。