【9月12日付社説】いわき市長に清水氏/市民協働で政策の「深化」を

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 任期満了に伴ういわき市長選は現職の清水敏男氏が、元職と新人との三つどもえの戦いを制し、再選を果たした。

 清水氏は、地域の課題にしっかりと向き合いながら市民本位の市政運営に力を注ぎ、浜通りのリーダーとして有権者の負託と期待にこたえてもらいたい。

 選挙戦は争点がはっきりせず盛り上がりに欠けた。それが投票率に表れた格好だ。投票率は49・13%と前回に比べて2ポイント低下、1994年の45・31%に次ぎ過去2番目の低さとなった。有権者の半数が市の代表を選ぶ選挙に背を向ける結果になったのは残念であり、大切な1票を行使するために投票所に足を運んでほしかった。

 市選管は、同市長選では初めて適用となった「18歳選挙権」の投票動向を含めて詳しく分析し、より多くの市民に選挙に参加してもらえるよう今後の啓発活動に生かすことが重要だ。

 前回に比べて有権者数が減り、投票率も下がる中、清水氏の得票は前回をやや上回った。しかし、全有権者の2割余の意思による信任という結果を真摯(しんし)に受け止め、市民の声に耳を傾けながら丁寧な市政運営を心がけてもらいたい。

 清水氏は選挙戦で、1期目の実績をアピールし、市政の継続による復興の前進を訴えた。一夜明けたきのう、清水氏は本紙インタビューに「医(医療)・職(雇用)・住(くらし)の課題解決に取り組みたい」と抱負を述べた。選挙戦で掲げた政策の「深化」を確実に進めることが求められる。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から6年半。復興を進める中、今回の選挙では、市の将来像を市民に示し、議論を戦わせる絶好の機会だった。

 しかし実際の選挙戦は、候補者がそろって最重点公約の一つに挙げた地域医療の取り組みについてさえ、十分に議論がかみあったとはいえない。市立総合磐城共立病院の新病院建設計画は浜通りの医療拠点として進めるべきだが、対立候補が指摘した事業費や医師確保などについては市民に分かりやすく説明して理解を得るべきだ。

 市が抱える課題は医療だけではない。少子高齢化や人口減少、中心市街地の活性化、さらには漁業や農業、観光の再生など山積している。とくに経済面は復興需要が落ち着き、それぞれの立場で底力が試される局面に入っている。

 市の人口は34万5751人(9月1日現在)で人口規模では県内一。同市で暮らす避難者2万人余との共生も含め、かじ取り役としての手腕が問われる2期目だ。