【9月15日付社説】医療機器開発拠点/強み生かし黒字転換目指せ

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 持てる強みを積極的に売り込んで経営を改善し、産業復興のけん引という大役を全うすべきだ。

 県が郡山市に整備した「ふくしま医療機器開発支援センター」が本年度、約6億円の赤字となる見通しとなった。医療機器の評価試験などによる収入を過大に見込んだのが要因という。

 見通しが甘かったと言わざるを得ない。赤字を払拭(ふっしょく)し、黒字への転換を急がなければならない。

 同センターは、医療機器の開発から事業化までを一体的に支援する国内初の施設として昨年11月に開所した。開発段階にある医療機器の安全性の評価試験や、模擬手術室を使っての医療人材の養成などができる。

 先進的な機能を持った施設であるため、県は開所と同時に多くの医療機器メーカーから受注できると見込み、本年度の収入を約2億8千万円と想定していた。

 しかし現時点での収入見込みは、予定していた額の1割にも満たない約1600万円にとどまっている。そのため県は、本年度の収入不足を補うために約3億1800万円を補正予算に計上する。

 利用低迷の背景には、受注ルートの開拓の難しさがあるという。メーカーは、実績のある機関や付き合いの長い企業に発注する傾向がある。一方で、新規参入したばかりのセンターは知名度が高くはない。センターや県の職員はメーカーを訪問し、利用を働きかけてきたというが、大きな成果にはつながっていない。

 センターの強みがメーカー側により伝わるよう営業力を強化することが必要だ。センターは、そのための人材も確保すべきだ。

 メーカーから信頼を得るためには、優れた試験施設であることを証明する国際規格「GLP」の認証を得ることが欠かせないが、取得は予定よりも遅れている。

 当初は本年度中の取得を目指していたが、申請手続きが想定より複雑だったため、来年度に持ち越しになった。センターには、着実に取得するよう求めたい。

 県は、センターの経営改善に向け、医療機器メーカー関係者や経営の専門家などを交えた組織を10月に設ける。本年度の赤字縮小を目指すとともに、来年度以降の経営強化策を練ってもらいたい。

 医療機器は、ロボットや再生可能エネルギーと並ぶ本県の産業復興の柱だ。センターの整備には、血税である国の補助金134億円が費やされた。その機能を十分に生かしていくために国内だけでなく海外からの受注も増やし、経営の立て直しを図りたい。