【9月21日付社説】双葉町の復興拠点/帰還の願いに応える一歩に

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 住民が再び古里で暮らすことができるよう帰還困難区域の復興へ着実な一歩を踏み出したい。

 政府は、双葉町が申請していた特定復興再生拠点(復興拠点)の整備計画を認定した。

 復興拠点は、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のインフラ復旧と除染を一体的に進めて、5年後をめどに避難指示を解除するために整備する。地元の自治体が作った計画を国が認めることで国費で整備を進めることができる。双葉町の認定は帰還困難区域がある7市町村で初めてだ。

 双葉町は、帰還困難区域が町の96%を占め、原発事故の発生から6年半が過ぎた今も全町避難が続いている。住民の「帰りたい」という願いに応えられるよう町は国、県と一体となり整備計画を具体化し、復興を前に進めてもらいたい。

 整備計画によると、町はJR双葉駅を中心とした約560ヘクタールに住宅地をはじめ、医療・福祉や商業施設などの整備を想定する。さらに農地の再生や、工場用地の整備など産業集積の拠点を設ける。

 町は、2020年3月末までを目標とするJR常磐線の全線開通に合わせて駅周辺の一部と避難指示解除準備区域の避難指示を先行して解除し、22年春までに拠点全域で避難指示の解除を目指す。解除準備区域には国が復興祈念公園を整備する。これら施設と連動させてまずは町ににぎわいを取り戻し、避難住民の帰還につなげたい。

 町は拠点を整備することで、約6000人の住民のうち2割強となる約1400人の帰還を見込む。しかし昨年度の国の意向調査では「戻りたい」と答えた住民は約1割にとどまる。町は商店の再開や企業誘致などに尽くし、拠点の機能を引き出すことが大切だ。

 帰還困難区域を抱える自治体のうち、南相馬市を除く浪江、大熊、富岡、葛尾、飯舘の5町村が復興拠点の整備計画を作成中で、本年度中の認定を目指している。

 整備の目的は大熊が町の中心部の再生、浪江が山間地復興の拠点づくりなどで、原発事故の影響や復興の進度により異なる。国と県には各町村の実情に柔軟に対応し、計画作りや事業の推進を後押しすることが求められる。

 復興拠点の線引きについて県は、拠点外となった住民に「置き去りにされている」という不安が生まれることを懸念する。政府は本県の復興加速の基本指針で、帰還困難区域の避難指示を将来的に全て解除すると明記している。政府は、それが実現されてこそ本県の復興が初めて果たされるということを忘れてはならない。