【9月23日付社説】国道114号再開通/動脈の復活を復興のバネに

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 中通りと浜通りを結ぶ動脈の復活を追い風にして地域の復興を加速させていきたい。

 東京電力福島第1原発事故に伴い通行が制限されていた浪江町の国道114号が自由に走行できるようになった。車限定で歩行者や二輪車は引き続き通行できない。

 再開通したのは浪江町の津島―室原間約27キロ。114号に接続する県道原町浪江線と相馬浪江線の一部も通行制限が解除された。原発事故後の2011年4月に制限が始まって以来、6年半ぶりの再開通だ。人とモノの動きの活発化が期待される。

 同区間はこれまで有人ゲートが設置され、町の事前許可を受けた町民や事業者以外は通行できなかった。浪江町は、避難先と自宅を行き来する町民や復興に携わる事業者の利便性向上を図るため通行再開を政府に求めていた。

 114号は、福島市と浪江町を結ぶ全長約70キロの幹線道路。「富岡街道」と呼ばれ、中間にある川俣町を東西に貫いている。かつては「塩の道」でもあり、浪江町に隣接する川俣町山木屋地区は中継地点となる宿場町だった。

 山木屋地区は今年3月末、浪江町とともに、避難指示が一部を除いて解除され、今年7月には114号沿いに復興拠点商業施設「とんやの郷」がオープンした。

 施設は道の駅の機能を併せ持っている。再開通後の状況について新関明施設長は「この先での行き止まりが解消されて交通量も増えた。多くの人に立ち寄ってもらえればうれしい」と話す。今回の再開通を機に浪江町と山木屋地区の住民帰還が進むよう望みたい。

 浪江町によると再開通により、同町から福島市までの所要時間はこれまでの迂回(うかい)路利用に比べて30分ほど短縮されるという。救急患者の搬送などにも役立ちそうだ。

 一方、帰還困難区域内の通行が可能になったことで、避難のため自宅を留守にしている町民らからは防犯面で懸念の声が上がる。

 このため県警は24時間態勢でパトカーによる巡回や検問の回数を増やすほか、ヘリコプターで上空からの巡回も行い、犯罪の未然防止を目指す。浪江町も沿線を中心に防犯カメラを増設し、監視の目を強化する。警察や町には住民の不安を拭うために対策には万全を期すよう求めたい。

 交通事故も懸念材料だ。開通区間では携帯電話がつながらないところが10キロほど続く。町は万一の際には道路沿いに設置してある非常電話の利用を呼び掛けている。同区間では野生動物の目撃も相次ぐ。安全運転を心がけたい。