【9月28日付社説】廃炉工程表改定/高いハードル確実に越えよ

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 福島第1原発の廃炉が果たされてこそ本県の復興はなし遂げられることを政府と東京電力は改めて肝に銘じなければならない。

 政府は、東電福島第1原発の廃炉に向けた工程表「中長期ロードマップ」を2年ぶりに改定した。

 工程表の見直しは4回目。「30~40年後の廃炉完了」を維持したものの、1~3号機の溶融核燃料(デブリ)や1、2号機内のプールに保管された使用済み核燃料の取り出しといった主要な工程の目標時期を先送りした。

 第1原発の廃炉は世界に例のない取り組みであり、実現へのハードルが高いことは分かる。しかし繰り返される目標時期の見直しは工程表そのものの信頼性を揺るがしかねない。

 政府と東電は、周辺環境や作業員への安全対策を最優先にしつつも、これまでに蓄積した技術と国内外の知見を総動員して、廃炉の作業を着実に前進させていくことが求められる。

 工程表ではデブリの取り出しについて、原子炉格納容器を水で満たさない「気中工法」を軸に進めると明記した。開始の時期は「2021年内」を維持したが、最初に取り出す号機の選定と工法の確定時期を現行計画の「18年度前半」から「19年度」に見直した。

 政府と東電は、デブリの調査と、開発中のロボットが現場で性能を発揮できるかどうかの事前審査を行うために変更したとしている。新たに得られた情報を踏まえロボットの性能を高めるなど最難関の突破に結び付けることが重要だ。

 また1、2号機の使用済み核燃料の取り出しも、開始時期を「20年度」から「23年度めど」に遅らせる。1号機で格納容器を覆うコンクリート製のふたが大きくずれていることや、2号機では近くの排気筒の支柱の一部が壊れるなどのトラブルが確認されたためだ。

 使用済み核燃料の取り出しは廃炉現場のリスクを低減するため最優先の課題だが、1、2号機ともトラブル対策に約3年かかるという。複数の作業を並行して進めるなど、工夫を凝らす必要がある。

 内堀雅雄知事が改定を決めた関係閣僚会議で「廃炉の進捗(しんちょく)が住民帰還、風評払拭(ふっしょく)に影響を与えているのも事実」と述べたように目標の先送りは県民に直接、間接的な影響を与える。

 一方で東電は優先する作業を見極めて目標を見直したとして「後ろ倒しになったとは考えていない」との認識だ。目標への認識について県民、国民との間にずれはないか。政府と東電は工程について説明を尽くさなければならない。