【9月29日付社説】衆院解散/問われる政策と実行する力

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 衆院が解散し、「10月10日公示―22日投開票」の総選挙に向けて政党、候補者が一斉に走り出した。

 奇襲のような解散と迷走する政治家の姿は有権者の政治不信を深めかねない。理念と政策で国民の判断を仰ぐ民主主義の基本をもう一度確認し、論戦に臨むべきだ。

 安倍晋三首相は、所信表明演説や各党の代表質問も行わないまま短期決戦の衆院選という道を選んだ。これに対して野党第1党の民進党は、政権交代を狙って新党「希望の党」と事実上の合流を目指しており、野党再編によって衆院選の構図は一変、波乱含みの様相となっている。

 首相は今回、消費税増税の税収使途変更を主要争点に掲げ、きのうの自民党両院議員総会では「日本の未来と子どもの未来をいかに切り開くかという選挙だ」と強調した。しかし使途変更は、足元の自民党にとっても唐突な提案だ。

 森友、加計(かけ)問題への対応と同じように丁寧さに欠ける政治姿勢を続ければ政策の担い手として信を失う恐れがある。成長と財政健全化をどう両立するのかについても具体的な説明が欠かせない。何より安倍政権の是非が最大の争点として問われる選挙であることを首相は銘記しなければならない。

 一方、民進党の前原誠司代表は常任幹事会で「もう一度政権交代可能な二大政党をつくりたいとの思いだ」と決意を述べた。しかし政権批判の受け皿づくりにはやるあまり、基本政策すら明確にしないまま小池百合子東京都知事に吹く追い風にあやかろうとしても、有権者に思惑が見透かされれば向かい風に変わりかねない。

 小池氏を代表とする希望の党も綱領にうたう「しがらみ政治からの脱却」や「寛容な改革保守政党」をどう実現するのか説明が必要だ。「消費税増税凍結」「原発ゼロ」もキャッチフレーズ先行の印象が否めない。2009年の衆院選では「政権交代ムード」が先行し民主党が大勝した。その結果もたらされた国政の混乱と停滞を多くの有権者は忘れてはいない。

 政権選択である衆院選が、互いの批判合戦に終始するようなことがあってはならない。政権を担おうとする政党は将来ビジョンを明確に掲げ、人気取りではない実現可能な政策とその道筋を国民に示さなければならない。

 本県では東日本大震災と原発事故から6年半を過ぎてなお避難生活を続ける県民が大勢いる。復興は国政の最重要課題だ。各政党、候補者はそれぞれが復興に取り組む姿勢を明らかにし、県民の審判を仰がなければならない。