【10月4日付社説】磐越道20年/潜在力引き出しフル活用を

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 いわき市と新潟市を結ぶ磐越道(全長212.7キロ)が全線開通してから20年の節目を迎えた。

 磐越道は太平洋側と日本海側を結ぶ大動脈であり、物流や観光といった経済効果に加え、人や文化の交流などの拡大にも大きな役割を果たしてきた。磐越道の持つ潜在的な力をフルに生かし、本県の復興や発展につなげていきたい。

 磐越道は、日本列島を横断する国内初の高速道路として建設された。1990年に東北道と接続する郡山ジャンクションと磐梯熱海インターチェンジ(IC)間の8キロが開通。その後順次開通区間を延ばし、97年10月1日に本県と新潟県境の西会津―津川IC間(22.4キロ)が結ばれ、全線が開通した。

 ネクスコ東日本によると、沿線の観光地から3時間圏内とされる「日帰り観光圏」が拡大され、会津若松市の鶴ケ城では日帰り圏人口が開通前に比べて4割増の約1080万人に増えた。企業誘致では沿線に52の工業団地が造られ、いわき、郡山、会津若松の3市を中心に企業の進出が進んでいる。

 磐越道は東北道や常磐道、北陸道につながり、本県と首都圏、新潟県とを巡る環状ネットワークを構築した。東北と近畿を結ぶルートでもある。県や沿線自治体は、ネットワークの活用に向けたさまざまな提案を観光客や企業などに広く発信していくことが必要だ。

 磐越道は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で、人命救助や災害対応に向かう緊急車両をはじめ、首都圏や関西圏からの救援物資を津波や地震で被災した沿岸部に送るために、常磐道と東北道の代替道路となった。震災後、災害から県民の命を守る面からも重要性が高まっている。

 災害に備えるためには、常に安全に通行できる道路環境を整えることが必要だ。重点的に取り組まなければならないのは会津若松―新潟中央IC間の4車線化だ。同区間は6割に当たる約57キロが暫定2車線であり、補修工事や交通事故などで通行止めとなる場合が多く、高速道路の機能を十分に生かせていないのが現状だ。

 国やネクスコ東日本には、円滑な交通を常時確保するために4車線化の検討を求めたい。

 沿線16自治体は商工団体とともに沿線都市交流会議をつくっている。事務局の郡山市によると、観光や物産をPRする合同イベントなどを行っているが、予算が減少するなど、設立当初に比べて活動が縮小している。物流や観光だけでなく、幅広い分野で交流人口が拡大するよう連携して取り組みを強めていきたい。