【10月5日付社説】糖尿病1千万人/怖さ知り予防と早期治療を

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 糖尿病はさまざまな病気を引き起こす恐れがある。油断はできない。その怖さを知り、予防と早期治療に努めたい。

 糖尿病が強く疑われる成人が全国で推計約1千万人に上ることが、厚生労働省の2016年国民健康・栄養調査で分かった。高齢者の増加を背景に、1997年の調査開始以来、最も多くなった。

 糖尿病は生活習慣病の一つで、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高くなる。治療をしないと次第に血管が傷つき、失明や腎不全、心筋梗塞など重大な合併症につながる危険性がある。

 厚労省の16年人口動態統計によると、本県の人口10万人当たりの糖尿病による死亡率は16・3人で、青森、秋田に次いで全国ワースト3位だ。予防と早期発見、重症化防止に向けた対策を急がなければならない。

 糖尿病を防ぐためには、まずはバランスの取れた食事と適度な運動が大切だ。節酒や禁煙も含めた「健康習慣」を実践したい。

 毎年健診を受け、自分の体の状態を知ることも欠かせない。しかし、40~74歳を対象に実施している特定健診の14年度の本県受診率は5割に満たなかった。

 特定健診は生活習慣病の原因となるメタボリック症候群を早期に発見し、治療への端緒をつかむことができる大切な機会だ。「自分の健康は自分で守る」との意識を持ち、必ず受けるようにしたい。

 糖尿病になっても、早期なら薬などで症状の進行を止め、合併症を防ぐことができる。しかし県によると、最初のうちはほとんど自覚症状がないため健診で血糖値が高く出ても治療に結び付かず、重症化するケースもあるという。

 県は、特定健診から割り出した糖尿病のリスクの高い人に対して受診を勧めるための「重症化予防プログラム」を年内に作成する。これを基に各市町村にも同様のプログラムを作ってもらう方針という。各市町村が地域の実情に合った効果的なプログラムを作成し、活用することが重要だ。

 東日本大震災と福島第1原発事故後、県内のメタボリック症候群の割合は増加している。原発事故後の健康リスクについて研究している福島医大や南相馬市立総合病院などの研究チームは「福島で、医者がいま最も対応すべきなのは放射線被ばくではなく生活習慣病だ」と警鐘を鳴らしている。

 糖尿病の予防は、医療財政の軽減にもつながる。県は、「健康」をテーマに行っている県民運動などを通し、県民の糖尿病に対する関心を高めていくことが必要だ。