【10月15日付社説】「常磐もの」の再興/品質磨きブランド力高めよ

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 本県沖で取れた魚介類の代名詞である「常磐もの」のブランド再興に向けて全力を尽くしたい。

 本県の漁業は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、休漁を経て、魚種や海域を限定した試験操業の範囲を徐々に広げている。その歩みを加速させるためには、より品質の高い魚介類を市場に届けることができる漁業にステップアップし、本格操業への追い風にすることが大切だ。

 その一環として県は本年度、魚の鮮度とうま味を保つ操業方法や輸送技術の改良を進める。さらにうま味を数値化して消費者に示すなどの販売方法も検討する。他産地との差別化を図り、市場での競争力を高める考えだ。

 県によると、魚介類は網に入ると暴れるなどして傷みが進む。操業法では、底引き網を引く時間を短くしたり、刺し網の回収を早めたりすることを検討し、魚の傷みを防ぐための最適な方法を探る。

 また、魚を冷やす氷を角型からシャーベット状に変えることで、より早く冷やす手法も検討する。漁業者と協力して水揚げされた魚介類の鮮度とうま味を数値化し、それを基に操業法などを改善する考えだ。

 試験操業で魚介類の水揚げ量は徐々に回復している。一方で、出荷量の増加によって他産地との競合も生じてきている。県には漁法や輸送方法の改善を急ぎ、漁業者に浸透を図ることが求められる。

 本県沖は、千島海流(寒流)と日本海流(暖流)がぶつかる潮目の海で、魚の餌となるプランクトンが豊富な漁場を形成している。

 常磐ものはその漁場で育った魚の総称。種類も豊富で、代表格のヒラメやヤナギガレイは首都圏を中心に高い評価を受けてきた。常磐もののブランドを再興、向上させることが本県漁業再生の大きな推進力になる。

 そのためにも、漁獲量を増やしていくことが求められる。ただ本県の漁業者は原発事故後、出漁を見合わせている人も多い。高齢化、後継者不足という事故前からの課題もあり、担い手をいかに確保していくかという乗り越えなければならないハードルもある。

 漁獲量も制限された試験操業で漁業者は、原発事故前のような収入が得られていないのが現状だ。県産水産物も原発事故による風評の影響を強く受けている。より品質の高い魚介類が市場に適正に評価されれば、漁業者の意欲は高まるはずだ。県は政府とともに、流通面でも本県漁業と漁業者を支える取り組みに力を入れていかなければならない。