【11月1日付社説】あおり運転/危険な行為一掃への機運を

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 車間距離を詰めて執拗(しつよう)に追い立てる。幅寄せする。無理に割り込んで進路をふさぐ...。

 「あおり運転」と呼ばれる危険な運転が社会問題になっている。死亡事故や暴行事件につながりかねない危険な行為を野放しの状態にしてはならない。

 あおり運転が注目されるきっかけになったのは神奈川県大井町の東名高速で6月に起きたワゴン車の夫婦が死亡した追突事故だ。

 その事故で、横浜地検はきのう、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕、送検されていた建設作業員について、より罰則が厳しい同法の危険運転致死傷罪に切り替え、暴行罪と併せて起訴した。

 地検は、あおり運転や進路をふさいで停止させた妨害行為の一連の結果が重大な事故につながったとして、危険運転致死傷罪の適用が可能と判断したとみられる。運転していない時に起きた事故で同罪を適用するのは異例だ。

 高速道路の追い越し車線で車を停止させる行為は、殺人にも値するような行為であり看過することはできない。危険運転致死傷罪での起訴は当然といえる。

 全国の警察が昨年1年間に、前方の車をあおって走行するなど道交法違反の「車間距離不保持」で摘発したのは7625件で、このうち高速道路での摘発が9割近くを占める。車間距離不保持による交通事故は1229件発生した。

 日本自動車連盟(JAF)の調査によると、運転中にあおられた経験がある人は「よくある」と「時々ある」を合わせると5割を超えている。死亡事故や暴行事件を誘発しかねない危険な状況に普段から置かれていることをドライバーは認識する必要がある。

 あおり運転に遭ったらどうすればいいか。県警は〈1〉感情的にならず道を譲って現場を離れる〈2〉安全な場所に退避し110番通報する―ことなどをアドバイスする。車にドライブレコーダーを装着し、客観的な状況を記録することも自己防衛になるだろう。

 警察は自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)などを駆使し、摘発に力を入れてほしい。

 車両同士のもめごとは、高速道路だけでなく、一般道でも、買い物先の駐車場でも起こり得る。

 諸説あるが、「怒り」のピークは長くて6秒だとされる。怒りに任せて衝動的に行動せず、まずは6秒をやり過ごし、深呼吸する。トラブルを防ぎ、自らの身を守るためには冷静に対処することが大切であることを心に留め、譲り合いの精神で安全運転に徹したい。