【11月11日付社説】障害児の発達支援/施設増と同時に質の向上を

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 障害がある子どもたちが生活習慣や人との関わり方などを身に付けることは、学校や地域で暮らしていくための力になる。支援の質を高め、子どもたちの成長を後押ししたい。

 支援を担うのは、就学前の障害児が通う発達支援施設だ。2012年の児童福祉法改正で導入された。子どもたちは食事や衣服の脱着といった日常生活の基本などを学ぶ。施設は自治体や社会福祉法人、NPOなどが運営し、原則1割の負担で利用できる。

 県内では12年に41施設だったが、今年10月にはほぼ倍の72施設になり急増している。県は施設の増加について、障害を早期に発見する研究が進み、乳幼児健診で発達障害が見つかるケースが増えたことに呼応しているとみている。

 子どもの発達障害を指摘された保護者は、育て方に悩みを持つ人も多いという。障害がある子どもたちの心身の発達を促すためには、社会福祉士や保育士の資格を持つ指導員が子どもや家族を身近な場所で支える発達支援施設が役割を十分に果たすことが大切だ。

 施設の増加に伴い、子どもの特性に応じた支援に水準の差が生じている。発達支援施設は、子どもそれぞれに異なる障害の程度を把握し、必要な支援を計画的に行う必要がある。しかし施設の中には障害児支援の経験が不足し、単に子どもを預かるだけにとどまる施設もあるという。

 そのため厚生労働省は、支援の質の確保に向けてガイドラインを初めて作り、都道府県などを通じて各施設に通知した。指針には子どもや家族への支援の内容、関係機関との連携策などを明記した。支援の達成度を年1回公表することを求めている。

 指針では第三者による外部評価を取り入れることも促している。外部の専門家の意見は支援の改善、充実につなげることができる。各施設には指針を実践することで、子どもたちが地域社会の中で個性や能力を発揮できるよう、きめ細かな支援を提供していくことが求められる。

 障害児の発達支援施設の開設は県が許可しており、県には各施設を指導する責任がある。県は、国の指針を各施設に通知するだけでなく、研修会を開くなど指針の内容を徹底させることが重要だ。

 幼児期に障害児への支援が十分でないと、学校や職場になじめずに途中で辞めてしまうなど、子どもたちの人生に影響を及ぼしかねない。県は施設を訪問するなどして、適切な施設運営を指導していかなければならない。