【11月14日付社説】EU規制緩和/輸出増やし風評拭う契機に

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 コメをはじめ県産食品の販路拡大と風評払拭(ふっしょく)に弾みをつけたい。

 欧州連合(EU)欧州委員会は東京電力福島第1原発事故後に課している日本食品の安全性に関する輸入規制の対象から、本県産のコメを含む10県の農水産品の一部または全部を除外することを正式決定した。12月から実施する。

 原発事故に伴う外国の輸入規制を巡っては、米国も9月までに牛乳・乳製品を一部緩和するなど、緩和の動きが広がっている。今後は、大口の輸出先であるアジアの国・地域の対応が焦点となる。EUの決定を、他地域の規制緩和への追い風として役立てたい。

 EUは原発事故以降、本県や周辺自治体で生産された食品の輸入に際し、日本の政府機関が発行する安全性を示す証明書の添付などを義務付けた。規制は段階的に緩和されてきている。

 今回の規制緩和で、県産米の検査証明書が不要になるほか、他県も福島産でないと証明する必要がなくなる。その結果、証明書を得るための手続きが要らなくなるほか、本県産と他県産を混載して運ぶことができるようになるなどコスト改善も期待できる。

 EU加盟国へのコメ輸出は昨年度、英国に県オリジナル米の「天のつぶ」を輸出した実績がある。規制緩和をテコにして、フランスやドイツなど各国に県産のおいしいコメを売り込んでいきたい。

 EUの規制緩和を巡っては、ユンケル欧州委員長が今年7月、安倍晋三首相との記者会見で、規制を一部緩和する方針を表明した。

 しかし、EUの国会に当たる「欧州議会」の環境委員会が規制緩和方針を再検討するよう求める決議を採択したため、緩和の行方に暗雲が立ちこめた。

 これに即応して、本県はじめ10県は連名で、規制緩和へ働き掛けを強めるよう政府に緊急要望。政府もEUに規制緩和を求めた。EUの規制緩和決定は科学的根拠に基づくものだが、本県や政府の臨機な対応が後押しした成果でもあろうことを銘記する必要がある。

 原発事故から6年半あまりが過ぎた現在でも、約30の国や地域で輸入停止や検査証明書の提出など何らかの規制が続けられている。

 県は、EUの規制緩和によって県産食品の安全性に関する各国の評価が高まり、風評払拭に向けても波及効果を期待している。

 欧州委は19年6月までに規制をさらに見直す方針だ。残る規制の撤廃に向けて、政府には一層の外交努力を求めるとともに、本県としてもさまざまな取り組みを強化していかなければならない。