【11月15日付社説】支援センター10年/犯罪被害者のさらなる力に

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 ある日突然巻き込まれた犯罪で体や心に深い傷を負い、平穏な生活が奪われる。精神的にも経済的にも大きな負担を抱え、地域から孤立する被害者は多い。

 事件・事故の被害者や、その家族をきめ細かく、継続的に支援する民間組織「ふくしま被害者支援センター」が2007年に設立されてから今年で10周年を迎えた。被害者たちの声に耳を傾け、立ち直りを支える態勢をさらに充実させていきたい。

 同センターは、ボランティアの支援員が面接や電話で相談に当たるほか、被害者の希望に応じて病院や裁判所、警察署などへの付き添いといった直接的な支援をする。経済的な負担を軽減するために犯罪被害者等給付金の申請補助にも取り組んでいる。13年には、性暴力の被害に特化した相談窓口も開設した。

 相談件数は、センター設立から1年間は100件に届かなかったが、認知度が高まってきたことから近年は増加傾向にある。昨年は271件の相談が寄せられ、今年はすでに300件を超えた。

 相談が増える一方で、支援員の不足が常態化している。現在の支援員は30人ほどで、1人当たりにかかる負担は増している。行政や県警など関係機関と協力して人材を発掘し、支援員を確保していくことが急務だ。

 この10年の間に犯罪の多様化、複雑化が進んでいる。インターネットの普及に伴い、神奈川県座間市の連続殺人事件のように会員制交流サイト(SNS)を介して県内の若者が被害に遭う事件も起きた。なりすまし詐欺やストーカーなどの被害も相次ぐ。

 同センターによると、中には「自分に落ち度があったから被害に遭ったのかもしれない」などと思い悩み、家族にすら相談できないケースもあるという。つらさを抱えた被害者に親身に対応し、心身のケアをしていくことが求められている。そのためにはセンターが年数回行っている研修会などを通し、支援員の資質の向上を図っていくことが大切だ。

 ボランティア団体である同センターの運営は、個人や企業・団体の賛助会員による会費や寄付金、県などからの補助金に頼るところが大きい。財政基盤の安定を図るためには、センターの存在や役割を伝える活動をこれまで以上に強化し、県民に理解を求めていくことが欠かせない。

 いつ、誰が犯罪の被害に遭うか分からない。社会全体で被害者を支援する輪を広げていくことが重要だ。