【11月19日付社説】県の人口減少対策/実効性ある事業へ転換急げ

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 人口減少対策に対する厳しい評価を真摯(しんし)に受け止め、施策の中身と推進体制を強化すべきだ。

 県の人口減少対策を検証する有識者会議が2016年度に実施された県の重点48事業を評価した。この結果、実施した事業に効果が認められたと判断されたのは6割にとどまった。

 人口減少は、東日本大震災と原発事故からの復興と同じように、本県が抱える最重要課題だ。県は対策の改善を急ぎ、人口減少に有効な手を打たなければならない。

 県は15年度に「ふくしま創生総合戦略」を作成した。雇用創出や定住・二地域居住の推進、子育て支援など7分野を重点プロジェクトに位置付け、同年度から対策に取り組んでいる。

 有識者会議は、第三者の意見を事業の改善に役立てるため、年度ごとに開かれている。今回の事業評価は15年度に次いで2度目だ。

 今回の結果をみると事業が「非常に効果的」が1割、次のランクに当たる「有効」は5割で、残る4割は効果がなかったり一部にとどまる―と評価された。

 有識者会議は15年度については8割の事業に効果が認められたと判断していた。事業数は15年度の25から、16年度は50まで増えており単純比較はできないが、評価の低下を看過せず、実効性のある事業へと転換しなければならない。

 16年度の事業の多くがどうして効果を上げることができなかったのか。総合戦略の本格化に伴い事業数を2倍に増やすに当たって、効果を十分に精査しないまま事業化したものはなかったか。有識者会議の評価はその点についても指摘している。

 例えば、定住・二地域居住の推進に向けて雇用と住居を確保する施策では、移住希望者のニーズが十分に把握できていないと指摘した。また、歴史的景観に合わせて板塀の設置を補助する観光振興策では、板塀の劣化によって事業効果の継続が難しいと評価した。

 有識者会議は、県の推進体制についても課題を指摘している。県の事業は部局ごとに行うものもあれば、部局をまたぐものもあるなどさまざまだが、部局ごとに行う事業の中には似通った事業が多い。県は、指摘された事業の見直しとともに、事業の統合などによる効率化も図る必要がある。

 本県の人口は今年中にも188万人を割り込む見通しだ。人口の減少は地域の活力を減退させ、復興の足取りを重くさせかねない。多くの人が住みたい、働きたい、子育てをしたい県土をつくるためにより効果的な施策を練りたい。